反魂香

「ウケケ、お前面白いや」

【座布団一枚獲得!総座布団数75】

 与太郎は宝箱を開けた!反魂香を手に入れた!

「よーし、これを持ってラクダオウの所へ行くぞ。待っててください、キセガワさん。今助けてあげますからね」

 再びラクダジョオウの案内で、複雑な宮殿の中を進んだ。そしてある豪華な扉の前にやって来た。

「ここがラクダオウの居場所だな。それ〜っ」

 不思議な掛け声と共に勢いよく扉を開け、中に踊り込んだ与太郎。もわ〜んと、妖しげな紫の霧に包まれる。

「何だこれは。いい心持ちだな」

 気が付くと、与太郎は与太郎の体を見下ろしていた。頭がぼんやりする。

「うん?何で俺がここにいるのに、あそこに俺が寝てるんだ?ええと、ラクダが二匹と花魁が一人。誰だっけな」

 花魁が与太郎の体を揺すって何か言っているようだった。だがその声は与太郎には聞こえない。

 その傍らには二匹のラクダが。

 何やら言い合っているようだったが、やがて雌のラクダが雄のラクダに噛み付いた。しばらくの格闘の末、雌のラクダに軍配が上がった。

「あの花魁、俺の懐をまさぐって何しようってんだい。おや、こちらさんはどなた?」

 与太郎の周りに、黒いフードを被った骸骨がやって来た。

「お迎えにあがりました、旦那」

「お迎え?」

「キセガワさんがお待ちであります」

「誰だい、それは」

「旦那の贔屓の花魁ですよ」

「ええと、今日は吉原に行く予定にしてたかな?まあいいや、遊びに行くか」

 モワモワと白い煙が立ち込め、与太郎は何が何だか分からなくなった。気が付くと、キセガワに抱き起こされていた。

「あ、キセガワさん」

「あ、キセガワさんじゃないわよ!反魂香を持ってきて、自分がラクダオウの術にかかってどうするのよ!」

 キセガワが反魂香を使い、与太郎の魂を取り戻さなければ、危ないところであった。

「早く起きて!妖喜利六将軍の一人、ラクダオウを倒すわよ。今なら弱ってるからチャンスだわ」

 ボロボロになったラクダオウがそこにいた。

「くう〜、ウチのカミさんを寄越すとは、卑怯者め。かくなる上は容赦はせぬぞ」

 ラクダオウとの妖喜利バトルが始まった!


【妖喜利バトル】

 催眠術にかかったフリをして、ラクダオウの居場所を突き止めていたキセガワよ。腹黒い?失礼ね。私のお腹は真っ白よ!それより五人目の六将軍。気合い入れて妖喜利やるのよ!良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。

(お題)

 死者の霊魂を呼び出す反魂香。あなたは反魂香を使って歴史上の人物を呼び出しました。誰が出てきて何と言ったの?

(与太郎の回答)

「私は法然。死者の霊魂を呼び出すなんて、そんなアホウねん」

 …久しぶりの駄洒落。こんな師匠は、わしゃ知んらん(親鸞)。


※反魂香…古典落語の演目。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る