ねずみ
「く、くだらない。知的な私には絶対にない発想だ。良かろう、潔く負けを認めよう」
ラクダオウをやっつけた!
【座布団7枚獲得!総座布団数82】
「与太郎とやら。幸運を祈っておるぞ。では私はこの辺で失礼」
「あ、どこへ行くのよ!」
ラクダオウはどこかへ去って行った。それをラクダジョオウが追いかけて行く。
「ふう、私達も早くこの砂漠を越えないと」
だが心配はいらなかった。砂ウナギが戻って来て、二人を次の町まで送り届けてくれたのだった。
「おう、恩に着るぜ」
「また会う日まで」
砂ウナギは去って行った。
「ここはチャザの町。もうエードは目と鼻の先よ。座布団も、もう後少しね。この町で100枚行けるといいわね。その前に、まずは今夜の宿を決めておきましょう」
街道沿いには旅籠が立ち並び、こぞって客引をしていた。
「お二人さん、お二人さん。ウチに泊まってっておくれよ」
与太郎の袖を引いたのは、一人の小僧さんであった。
「俺たちゃ、安くて飯がうまくて美人の芸者を沢山呼んでくれる温泉宿に泊まりたいんだ。他を当たってくれ」
「そんなとこ探してないでしょう。こんな小僧さんが一生懸命になってるんだもの。話ぐらい聞いてあげなさいよ」
「ウチは芸者はいないけど、珍しいものがいるよ。ネズミが座布団を運んでくれるんだよ」
興味を惹かれて行ってみると、大変に立派な旅館の隣に、今にも潰れそうな惨めなボロ旅館があった。
「こっちの侘び寂びの美しさを体現したシックな旅館だよ」
「物は言いようだな。しかし、そんな珍しいものがあれば、もっと繁盛していそうなものだが」
部屋に通されると、早速ネズミが座布団を運んで来た。小さな体でチョロチョロと良く動く。
「ネズミのヤーマだよ」
「ふうん、面白いじゃないか。何でこれで客が来ないんだ?」
不思議に思いつつ、座布団の上に座る与太郎。と、その背中をドーンと突き飛ばされた。
「うわっ」
「ヤーマは気に入らない人を見ると突き飛ばすんだ」
するとヤーマは調子っ外れの声で歌い始めた。
「ちょっと、頭が逆立ちしそう。やめさせてよ」
「ヤーマは歌が好きなんだ」
「これじゃ客が来ないのも無理ないな。悪いけど、やっぱり別の宿に泊まるわ」
帰ろうとした二人を、小僧さんが必死に止めた。
「待っておくれよ。ヤーマにはもう一つ得意なものがあるんだよ。もし兄さん達が勝ったら、座布団サービスするよ」
「座布団?ということは、やっぱりアレか?どうします?」
「サービスしてくれるって言うから、やってみる?」
ネズミのヤーマとの妖喜利バトルが始まった!
【妖喜利バトル】
キセガワよ。チャザの町は米がうまい、らしいわ。でもこの宿で期待できるかしらね。それじゃ妖喜利バトル行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
この話の元になった落語「ねずみ」は、名工の手になる木彫りのネズミが動き出して、それが評判になって宿屋が繁盛するというもの。そこで皆さんは宿の客引になって「ウチの名物は◯◯だよ」と、客の私を呼び込んでください。そこで私が「それは何だい?」と言いますから、更に一言続けてください。
(与太郎の回答)
「ウチの名物はエコな料理だよ」
「それは何だい?」
「フグの捨てるところまで使うよ」
…私はアンコウにしとくわ。捨てるところないけど。
※ねずみ…古典落語の演目。
※座布団運び…笑点の座布団運び山田隆夫さんは、ずうとるびで紅白に出場した経歴の持ち主。
※チャザ…笑点レギュラーだった林家こん平師匠は新潟県チャーザー村の出身。
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