チブチブ村
「パオパオ、強いでありま温泉。ここは潔くお支払いして、湯治にでも行くパオン」
謎の象妖怪はズシンズシンと去っていった。
【座布団一枚獲得!総座布団数2】
「やったね。でもあいつにとっては、元々払うお金と大して変わりはないわね」
やれやれ一件落着と、食後のお茶を啜る与太郎とキセガワであった。
と、そのときである。何やら泣き声が聞こえてきた。
「お〜ん、お〜ん」
「な、何だあ?さっきの象の奴、まだいるのか?」
「パオーン、パオーンじゃなくて、今度はお〜ん、お〜んだわ。あそこを見て」
キセガワの視線の先には、オレンジ頭の妖怪が蕎麦を啜りながら泣いていた。
「ねえ、どうしたの?」
と、キセガワが声を掛けると、身の上を語り始めた。
「私は、ここから北に行ったところにあるチブチブ村の者であります。実は村は今大変なことになっているのです。それと言いますのも、村に呪いがかけられて、人も家も全てセメントで覆われてしまったのです。助けを求めてオーツキ村に参りましたが、私が行って助けてやろうという人がいなくて困っています」
「まあ、かわいそう。一体どうして」
「ある妖怪のせいです。チブチブ村を嫌っている、コユーレイという奴の仕業です」
「コユーレイ!!」
与太郎とキセガワは二人で顔を見合わせた。
「俺たちゃ、コユーレイの行方を探しているんだ。奴がどこにいるか知らないか」
「はあ、おそらくまだチブチブ村にいると思いますが」
というわけで、チブチブ村に寄ることにした与太郎一行。
「あ、お前、名前は何てえだ?」
「私は花火屋のタイタイと申します」
チブチブ村に着いて、その余りにも悲惨な光景に一行は思わず目を覆った。
「酷いわ。あちこちにセメント人形が立っている」
「おわっと、危ねえ。道もセメント塗りたてだな」
「あんまり迂闊に触っちゃだめよ」
「もう手遅れだ」
与太郎の手には、セメント製の猫がしっかり張り付いていた。
「あらあらん、ドロンしたと思ったら、また会ったドロン」
突然、コユーレイが現れた!
「コユーレイ!やっぱりここにいやがったか。ここで会ったが百年目だ。いざ尋常に…、えっと、俺たちは何をしに来たんだっけか」
「バカね、頭が黄色くなっちゃったの?チブチブ村にかけられた呪いを解くんでしょ。ついでに取られた座布団も一気に取り戻すわよ」
「あらあらん、こんな女湯も自動販売機もないような田舎など、セメントで覆われてしまえばいいのドロン」
チブチブ村のため、座布団のため、妖喜利バトルが始まった。
「えっと、俺、猫持ったままかい?」
【妖喜利バトル】
キセガワよ。今度こそコユーレイをやっつけてやるわ…って、与太郎で大丈夫かしら?みんなも良かったらコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
悪い魔法使いが呪いをかけるシーンはファンタジーには付きものよね。そこで今回は皆さんが呪いをかける方になって、何か面白い呪いをかけてみてください。
(与太郎の回答)
「お前はこれから、キウイのツブツブを一つ一つ爪楊枝でほじくり出してからでないとキウイが食べられない呪いをかけた!」
…あら、かわいい。こういうの好きよ。
※チブチブ村…笑点でお馴染み、林家たい平師匠は埼玉県秩父市の出身。
※黄色…笑点の黄色と言えば、林家木久扇師匠。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます