シージク(コエンリュウ)
「うむ、良かろう。ここまでの妖喜利が出来る男を、檻に閉じ込めておくわけにもいくまい」
サイガーは与太郎達を檻から出した。
サイガーをやっつけた!
ゴゴゴゴゴ…。結界が破れていく…。
すると警備員が血相を変えてやって来た。
「サイガー師匠、大変です!」
「何事じゃ!?」
「結界のついでに、動物達の檻まで破れました!」
なんと自由になった動物達が、檻の外をウロウロしている!
「早く、動物達を檻に戻せーっ!与太郎とやら、そなたの活躍を祈っておるぞ。では、さらばじゃ!」
「私達も早く安全な所に逃げましょう」
キセガワと与太郎は、慌てて動物園を後にした。
続いて、二人は三番目の宿である、シージク宿に向かった。シージク宿は、まるで中国の水墨画で見たような、高い山々が聳え立っていた。
「シージク宿を守るコエンリュウというのは、その名の通り竜の妖怪ね」
「へえ、竜だけに大層な所に住んでいるもんですねえ。しかしこの中のどこにいるんでしょうね。一つ一つの山を登るなんてことは、勘弁してもらいたいもんです」
そのとき俄に空がかき曇り、辺りが真っ暗になった。稲光が轟き、大粒の雨が強い風に舞う。
「くわっ、酷え天気だ。天気予報見て来れば良かった」
「どうやら敵のお出ましのようね」
一番高い山の上、雷光に竜のシルエットが浮かび上がった!
「え、どこです!?」
「ほら、あそこよ。コエンリュウが現れたわ」
「どこです?」
「一番高い山の上。あ、降りて来た」
「竜なんてどこにもいないじゃないですか。それより早く避難しましょうよ」
逃げ掛ける与太郎の腕をキセガワが掴む。コエンリュウはしゅるる〜と宙を飛んで、二人の目の前までやって来た。
「ちょっと、どこに行くのよ。敵の方から来てくれたわよ。妖喜利バトル行くわよっ」
「そんなことより濡れちまいますよっ」
キセガワと与太郎の目の前で、コエンリュウが気まずそうに頭を掻いている。
「わし、バカには見えない竜じゃからなあ」
コエンリュウと妖喜利バトルだ!
【妖喜利バトル】
竜の姿がはっきり見えている、賢いキセガワよ。まったく、こういうときバカはややこしいわね。私もバカには見えない花魁だったら良かった。それじゃ姿は見えないけど、妖喜利行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
アンデルセン童話に「裸の王様」という話がありますよね。そこで皆さん、発明家になって、王様にバカには見えない◯◯を持って来てください。「王様、バカには見えない◯◯です」と言った後に私が王様になって「それは何じゃ?」と聞きますから、更に一言続けてください。
(与太郎の回答)
「王様、バカには見えないかつらです」
「それは何じゃ?」
「絶対にバレません」
…人間、ありのままが一番。
※コエンリュウ…笑点レギュラーだった三遊亭小圓遊師匠とは無関係。
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