セジュ(サイガー)

「くっ、私の負けだ。まだまだ修行が足らなかったようだ。私は自分の芸を磨くための旅に出ることにしよう」

 サンペはコーヒー片手に、どこかに去って行った。

 サンペをやっつけた!

 ゴゴゴゴゴ!結界が破れる音がする。

「やったね!一つ目の結界を破ったわ」

 コーヒーを最後まで飲み干して、イタバ宿を後にする与太郎とキセガワであった。

 勝利の余韻も冷めやらぬまま、すぐさま次の宿に向かう。

「今度はセジュですか。どんな所です?」

「大きな動物園がある所よ。セジュを守っているサイガーというのは、サイの妖怪よ」

 セジュに到着すると、噂通り巨大な動物園があった。

「ここには世界中の珍しい動物が集められているわ」

「ふうん、確かに見たことのないものが沢山いますね。あれは何て言うんですか、太鼓を持って暇そうにしてる」

「あれはタイコモチね。絶滅危惧種よ」

「あの惨めそうなのは何です?」

「あれはゼンザって言うのよ。世の中で最も惨めな動物のうちの一つね」

「あっちは何ですか?」

「あれはフタツメ。ゼンザよりはマシだけど、まだ苦しいわ」

「あいつは何ですか?」

「あれはシンウチ。いずれにしてもロクなもんじゃないわね」

「あれは何です?楽しそうだけど」

「あれはイロモノね。あれはあれで苦労があるのよ」

「何か動物園って、人を暗い気分にさせる場所ですね」

「このくらいで参ってちゃダメよ。あれを見て」

「うわ、何すかあれ」

「あれはショーセツカ。説明不要でしょ」

 そのとき、ウウウ〜とサイレンが鳴り響いた。

「園内放送、園内放送。動物が二匹、檻を抜け出して園内を歩き回っています」

「嘘、怖いわ!?」

「二匹は花魁とマヌケ面。サイの檻に向かっている模様」

 わらわらとサイの警備員が出て来て、二人を担ぎ上げた。

「きゃ、何するのよ!」

「うわ、どこ触ってんだ!?」

「それ、私のセリフよ!?」

 二人はあっという間に檻に入れられてしまった。サイの警備員の隊長が出て来た。

「フハハハ、お前らが噂の花魁とマヌケ面だな」

「お前は、サイガー!」

「いかにも、私がサイガーである。ごめんくだサイ、めんどくサイ、おちゃのこさいサイ、サイガーです」

「何か、剽軽な奴だな」

「さあ、そこのマヌケ面。私とサイ高の勝負をしようじゃないか」

 サイガーとの妖喜利バトルが始まった!


【妖喜利バトル】

 サイ高の女、キセガワよ。結婚相手に求める条件、昔三高、今サイ高。しゃらくサイ、うさんくサイ、抹香くサイって、それじゃ勘弁してくだサイだわよ。それより妖喜利行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。

(お題)

 ◯◯の最上級と最下級を答えてください。

(与太郎の回答)

「テレビの最上級は、料理が映ると香りまで匂ってくる。最下級は、スイッチを入れると焦げ臭い匂いがする」

 …あんた家にテレビあった?


※サイガー…笑点レギュラーだった、桂才賀師匠とは無関係。

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