ふたなり
「パパラギ!オマエ、面白い!」
酋長は去って行った。
【座布団一枚獲得!総座布団数16】
「何だったんだ、あいつは」
その日はゆっくりして、町の反対側にある宿に泊まった二人。翌朝、出発であるが、宿の人から気になることを聞いた。
「あんれ、お前さん方、東に行きなさるか。あそこはフタナリの森っちゅうて、昼なお暗い魔性の森ですだ。恐ろしい魔女が出るいう噂もあります」
与太郎は嫌がったが、キセガワは魔女が出ると聞いて黙っていられない。
「もしかして魔女コーラルと関係があるかもしれないわね。行って確かめるわよ」
町を出てしばらくすると、言われた通りに森が見えてきた。遠くからだと普通の森のようだったが、いざ近くまで来ると、その怪しさが手に取るように分かる。
「妖気が外まで漏れてきているわね。魔女が出るという噂は本当のようだわ」
勇気を出して入っていく。昼間だというのに中はまるで夜のように真っ暗だ。太陽の光は、鬱蒼とした木々によって阻まれている。
「うう、おっかない所だな。富士の樹海みたいだ」
「変なこと言わないでよ」
「だってよお、自殺するのにもってこいみたいな場所じゃないか。ほら、あそこの枝なんか、ロープを掛けるのに丁度良さそう」
「バカバカしい。とっとと行くわよ」
流石のキセガワも怖くなった。魔女など放っておいて、こんなところ早く抜けようという気になった。そのときである。
「もし」
出し抜けに女の声がした。
「うわあ、出たあ!」
「キャー!!」
「あ、キセガワさん!?」
ドンッと与太郎を突き飛ばして、脱兎の如く逃げ出すキセガワ。
「いててて」
与太郎は倒れた拍子に、したたか膝を打ってしまった。
「もし、そんなに驚かないでもいいものを」
その声に聞き覚えのある与太郎。暗いから顔は良く見えないが、やはり魔女コーラルか。
「誰かが入って来たと思ったら、お主達ではないか。ほれ、手を貸そう。いつまで寝ておるのじゃ」
「済まねえ」
魔女コーラルが近付いて来た。与太郎は好意に甘えて手を伸ばした。コーラルが差し出した手をギュッと掴んだ。と思ったが、その感覚がおかしい。
(おや?俺は何を掴んだんだ?)
「お主、どこを掴んでおる」
怒りのこもった男性の声がした。
(まさか、コーラルって)
「やはりお主達は許しておけぬ(怒)!ここで森の養分となるがいい!」
妖喜利バトルが始まった。
【妖喜利バトル】
キセガワよ。え?逃げたんじゃないかって?そ、そこにいたわよ!暗いから見えなかっただけ。人聞きの悪いこと言わないでちょうだい(汗)。それよりコーラルとの再戦だわ。気合いを入れて行くわよっ。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
人は誰でも秘密があるもの。そこで皆さん、表の顔と裏の顔の組み合わせで、何か面白いことを作ってみてください。
(与太郎の回答)
表の顔は、誰にでも笑顔を振り撒くマスコット的存在。
裏の顔は、何にでもマヨネーズをかけるマヨラー的存在。
…的って何よ。真正のマヨラーだわ。
※ふたなり…古典落語の演目。
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