月宮殿星の都

(うむ、なかなかやりおるな。ご褒美にいい所に連れて行ってやろう。私の背中に乗るがいい)

(ゴボゴボ。それより苦しいぞ。いい所って、まさか極楽じゃあるまいな)

【座布団一枚獲得!総座布団数24】

 与太郎を背に乗せた大ウナギは、ザバアっと水面に顔を出した。キャアキャア大騒ぎをする尼さん達を放っといて、そのままどんどん空へと昇っていく。

「おわっ、ど、どこへ連れて行くんだーっ」

「与太郎、大丈夫?」

 キセガワが妖精の姿になって追いかけてきた。ウナギの背に掴まる。二人を乗せたウナギは、ギューンと大空高く舞い上がって、天界に辿り着いた。

 キセガワがウナギに色々と尋ねる。

「ここはどこかしら?星が沢山浮かんでいる」

「ここは星の都。星達が住む所だ」

「綺麗。とっても幻想的だわ。あれは何かしら?ホウキみたいだけど」

「あれは箒星。循環しながらここの掃除をしているのだ」

「あの三つの星からおいしそうな香りがするわね」

「あれは三つ星レストランだ。テレビで紹介されて、忙しくなったせいで味が落ちた」

「あの太った白と黒の星は?」

「あれは白星と黒星だ。白星は金で買える」

 今度は与太郎が尋ねた。

「あれは何だい?この顔にピンときたら110番?」

「あれはお尋ね者の星達だ。誰か知ってる奴でもいるのか?」

 その中の一つに見覚えがあった。お尋ね者の大泥棒、赤坂炒飯こと、カッパのキクラーだ。

 そのとき、聞き覚えのある声がした。

「ひぃ〜、ひぃ〜。よくぞここまでやって来たのねん」

「お前は、キクラー!」

「その努力に免じて、まずい炒飯を食べさせてあげるのねん」

「そんなもの、いらないわよ。それより座布団を返しなさい!ついでにあんたの座布団も全部引っぺがしてやるわっ」

 星の都で、キクラーと再戦だ!


【妖喜利バトル】

 星のように輝くキセガワよ。ここで会ったが百年目。キクラーと与太郎、どっちが本物のバカか勝負だ!って、虚しいわね。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。

(お題)

 最強のバカを決める大会。優勝したのはどんなバカ?

(与太郎の回答)

 自分の正体も忘れて「神は死んだ」とか嘆いている、神様。

 …!バカな答えを求めているのに深い回答が。ある意味これぞバカ?


※月宮殿星の都…上方落語の演目。

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