阿弥陀池
「ぶわはっ、ぶわはっ、いやはや、そんな面白い顔で言われたら笑ってしまうではないか」
奉行は大笑いした。
「何かこっちは面白くないな」
【座布団一枚獲得!総座布団数23】
「その顔に免じて釈放してやろう。さて、キクラーの行方だが、この先に和光寺という尼寺がある。そこに阿弥陀池という池があるのだが、良くそこでキクラーの姿が見えるという。行ってみると良いぞ」
ということで、その和光寺とやらに行ってみることに。
「尼寺とは、キクラーもスケベな奴め」
「不謹慎だわね。そんなことを考えちゃいけないわ。でも、尼さん達もきっと一つ目小僧よ」
「うひっ、そりゃ勘弁」
そう願いたいところだが、尼寺に着くと与太郎は、期待に反して人気者になってしまった。たちまち尼さん達に囲まれる。大歓迎されて、下にも置けないもてなしを受けた。
「これはこれはようこそ。いいお顔をしておられる殿方じゃ」
「貴殿のようなお顔をした殿方をお待ち申し上げておったのじゃ」
一つ目小僧の尼さんだと言っても、女性にモテたことのない与太郎である。まんざらでもない。
「ははは、流石は仏の修行をした人達だね。俺の良さを分かってるね。この際一つ目小僧でもいいか、なんて思っちゃうね」
「何がこの際よ。そんなことより、私達がここに来た目的があるでしょう?」
「おっと、そうだった。なあ、姉さん方、俺たちゃこの寺に阿弥陀池ってのがあるって聞いてきたんだけどさ」
「阿弥陀池とな!やはりこのお方こそ、我らを救ってくださる救世主様じゃ」
「救世主様!ありがたや!」
与太郎は尼さん達に拝まれてしまった。
「何だ?この人達、よっぽどキクラーに困らされてきたんだなあ」
「何だかおかしくない?」
胸騒ぎのするキセガワである。
与太郎達は池のところまで連れて来られた。
「ここが阿弥陀池かい?キクラーはここにいるのかな?」
「救世主様!私達を救ってくださいまし!阿弥陀池が氾濫して困っておるのです。仏様にお伺いを立てたところ、これは池の主の祟りである。目が二つあるマヌケな顔をした男を人柱に立てれば祟りは静まるとのこと」
「え、人柱?」
「エイッ」
ドボン!
与太郎もおかしなことに気付いたが、時既に遅し。尼さんに背中を押された後だった。
(ゴボゴボ、何で池が氾濫するんだ?)
そのとき与太郎は見た。池の底で巨大なウナギがトグロを巻いているのを。
(フハハハ、私はこの池の主であるぞ。お主のような面白そうな奴が来るのを待っておった。食われたくなければ、私と勝負するが良い)
池の主と妖喜利バトルだ!
【妖喜利バトル】
キセガワよ。まさか水中でバトルだなんて。え?何で岸にいるはずの私が水中の様子を分かるのかって?こ、細かいことは気にしないっ。そんなんじゃ花魁にモテないわよ。とにかく、妖喜利バトル行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
皆さんは釣り人です。特別なエサで池の主を釣ろうとしていますが、なかなか釣れません。私が池の主になって「そんなエサじゃ釣られないよ」と言いますから、何か一言返してください。
(与太郎の回答)
「そんなエサじゃ釣られないよ」
「政治家なら金で釣れたのになあ」
…おおっ、与太郎らしからぬ答え。たまにはこういうのも必要ね。
※阿弥陀池…上方落語の演目。和光寺はそこに出てくる尼寺の名前。
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