一眼国・次の御用日
「うむ、お主なら、この先に進んでも構わぬ。通って良いぞ」
「この完食証明書って何だったんだ」
【座布団一枚獲得!総座布団数22】
地下道を抜けると、明るい所に出た。
「ケケケ、あんたたち面白かったぜ。あばよ」
首提灯はどこかに去っていった。
外は見たところ、普通の町といった感じだ。
「キクラーの行方を知りたいわ。誰か人がいないかしらね」
路地を真っ直ぐに歩いて行くと、向こうから人がやって来るのが見えた。
「ちょうどいいわ。あの人に聞いてみましょう」
どうやらうら若い娘のようである。
「ちょっとそこのお嬢さん」
キセガワが声を掛けると、娘は顔を上げてこちらを見た。
「あ!」
与太郎は驚いて、思わず大きな声を上げてしまった。何と、娘の顔には、目が一つしか付いていなかったのである。
「ひぃ!」
しかし驚いたのは娘も同じだ。与太郎の顔を見て衝撃を受けた。
「ひ、一つ目小僧だ!」
と、与太郎。
「わわっ、面白い顔!」
と、娘。
声を聞き付けて、周囲の家からわらわらと人が出てきた。どの人も一つ目である。
「何だ、何だ」
「目が二つあるぞ」
「化け物め!」
「引っ捕らえろ!」
たちまち捕らえられた与太郎たちは、奉行所に連れて行かれた。
「お、俺たち、どうなっちゃうんですか?」
「ここは一つ目の国だったようね。相手の出方を伺うしかないわ」
一つ目の御奉行が出てきた。
「その方、罪状に面白い顔でうら若き娘を驚かせたとあるが誠であるな?」
「そっちだって面白い顔じゃないか」
「無礼者、頭が高い。そなたは見世物小屋にでも持って行けば、さぞ高くつくだろう」
「ねえ、待ってちょうだい。驚かせちゃったのは悪いけど、私達は初めてこの国に来たのよ。悪気はないわ」
「その方、何故に一眼国に来たりしか」
「キクラーっていう、おかしなカッパを追って来たのよ」
「ほう、キクラーをな。あやつには迷惑しておる。まずい炒飯を売り付ける」
「キクラーを知っているの?」
「知っておる。あやつめを退治してくれるというのなら、釈放してやってもよい。しかしその前に」
「何だ?何か条件があるのか?」
「与太郎とか言ったな。そなたの顔は拙者が今まで見た中で最も面白い。よって、いざ尋常に勝負せよ!」
御奉行との妖喜利バトルが始まった。
【妖喜利バトル】
キセガワよ。やっぱりこうなるのね。一つ目小僧達も、やりたいことはみんな同じ。それじゃ妖喜利行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
「驚いた」を活かして、七七七五のどどいつを作ってください。「◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯、驚いた」
(与太郎の回答)
「オウムをからかい、遊んでいたら、英語で返され、驚いた」
…意識高い系のオウムだったのね。それより人間の友達作ろう。
※一眼国…古典落語の演目。一つ目小僧が出てくる。
※次の御用日…上方落語の演目。人を驚かせて裁きを受ける部分はこの噺によっている。
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