ぜんざい公社
「ケケケ、あんた面白いな。いいぜ、オイラ提灯になってやる」
【座布団一枚獲得!総座布団数21】
首提灯の自慢の白い歯で、暗い通路を照らして進んでいく。
「ケケケ、オイラの歯、綺麗だろ。クビニカで磨いてんだ」
首提灯は意外とお喋りだ。道すがら、ずっと喋り続けている。
「まるで噺家みたい。人間、首だけになるとお喋りになるのかしら」
しかし駄洒落はくだらないので、キセガワは退屈気味だ。
しばらく地下道を進むと、ぼんやりとした明かりが見えた。近付いて見ると、ハロウィンのカボチャのランプである。その側には、一人のいたいけな少女が大きなカボチャの前に立っていた。与太郎達を認めて声を掛ける。
「ぜんざい、ぜんざいを買ってください」
「ぜんざい?お嬢ちゃん、こいつはぜんざいじゃなくて、唐茄子だぜ」
「ぜんざいだよ。ぜんざい買ってよ」
少女が大きなカボチャの蓋を取ると、中で温かそうなぜんざいが煮えていた。
「変わったぜんざいだな。一杯ぐらいならいいぜ」
「ありがとう、お兄さん」
「あ〜、辛気臭い地下道通ってきたから、この甘さがたまんないね。うん?これはナルトか?」
ぜんざいは普通においしかったが、中にはいろんなものが入っていた。
「それと、チャーシュー?それにメンマ。ラーメンの具材ばかり入ってんな。おや、麺まで。汁がよく絡む中細縮れ麺」
「よく食べれるわね、そんなもの」
キセガワは呆れてしまった。
「ふ〜、食った、食った。お嬢ちゃん、いくらだい」
「二八の十六文よ」
与太郎が代金を払うと、一枚の紙をもらった。
「これ、完食証明書。出口で必要になるの」
「No.2ってあるのは何だい?」
「さっきのカッパの人に続いて二人目の完食者」
「与太郎がバカで良かったわ」
更に進むと、出口が見えて来た。いかめしい顔の鬼が待っていた。
「ふむ、完食証明書か。ならば通ってよかろう。ただし」
「え、まだ何かあるのかい?」
「これほどのバカにはなかなかお目にかかれぬ。面白そうな奴、一つこの私と勝負をせい」
「やっぱりこうなるのね」
鬼と妖喜利バトルだ。
【妖喜利バトル】
美食家のキセガワよ。私だったらあんなの食べないわ。でも結局こうなるなら、ぜんざいは何だったのかしらね。ナンセンスだわ。それでは妖喜利行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
世の中に不条理は付き物。そこで今回はこんな問題。「あなたの学校のナンセンスな校則とは?」
(与太郎の回答)
下着とカメレオンの色は白のみ。
…遂にカメレオンの色まで指定が!って、ずっと下着に乗せとけってこと?
※ぜんざい公社…お役所仕事を風刺した落語の演目。
※唐茄子…唐茄子屋という古典落語の演目がある。
※二八の十六文…時そば、時うどんにおける一杯の値段。
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