道具屋

「なかなかやるじゃん」

 ショーターはケタケタ笑った。

【座布団五枚獲得!総座布団数8】

「こいつ、結構持ってやがったな」

「クリア、クリア、おめでとう」

 辺りに霞が掛かって見えなくなった。

 気が付くと、与太郎とキセガワの二人は元の破れ寺にいた。天井の穴から朝日が差し込んで眩しい。狸達は一匹もいなくなっていた。

「あれは夢だったのか?」

「夢じゃないわよ、座布団が増えてるし」

 しばらく歩くと、町に着いた。腹拵えをしてから、情報収集を開始する。

「オチャマルは愛宕山と言っていたわね」

 調べた結果、愛宕山はこの近くにある山だということが分かった。だが一つ問題があった。

「活火山?」

「そうだよ、花魁のお嬢さん」

 登山の為の装備を整えようと、二人は道具屋にいた。

「愛宕山は今も頻繁に活動を続けている活火山さ」

「そんな山にどうやって登るのかしら」

「だからこいつを持って行きな」

 と、道具屋の主人が勧めてきたのは、尿瓶である。

「そうか、山で立ちションベンは厳禁か」

「違う、違う、マヌケ面の兄さん。こいつは魔法の尿瓶さ。愛宕山はドカーン、ドカーンと、噴火して座布団を撒き散らしている。そいつを目当てに多くの人が山に登るが、素手で受け止めるのは至難の業だ。そこでこいつを使うと、座布団を吸収してくれる」

「尿瓶の花活けというのは聞いたことがあるけど、尿瓶の座布団入れとはね。ここに入った座布団にはあんまり座りたくないけど、一つ買って行く?」

「ションベンはよしとくれよ」

「尿瓶じゃないか」

「冷やかしだけで帰るのをションベンって言うのよ」

 結局、一つ買うことに。他に必要なものを買い込んだ。

「姉さん方、オチャマルと戦うのかい?」

 内緒のところを突かれて、ギクッとする。

「愛宕山ったら、オチャマルの本拠地だよ。どんな山かも知らずに行こうとしてたところを見ると、オチャマルしかないわな」

「隠す必要もなかったようね」

「だとしたら、相当な腕前なんだろ。一つ小手調べに俺と遊んでくれないか」

 道具屋の主人との妖喜利バトルが始まった!


【妖喜利バトル】

 キセガワよ。あらあら、飛んだところでバトル開始ね。もののついでに、一丁揉んでやりましょうか。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。

(お題)

 道具屋で買って良かったランキングを答えてください。

(与太郎の回答)

 一位やくそう

 二位どくけしそう

 三位かわいそう

 …ははあ、与太郎はかわいそうを使い過ぎたんだわ。


※道具屋…古典落語の演目。

※尿瓶の花活け…古典落語の演目。

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