初天神
「あーはっはっはっはっ!こりゃ愉快」
ウワバミ・コンピカリは、お腹を抱えて笑い転げた。中の与太郎達はたまらない。
「おわわっ、暴れるない!」
「この勢いで吐き出してくれるのかしら?」
ところが、入って来た方とは逆の側に、ぽっかり出口が現れた。
「さあ、この隙に外に出ましょう」
与太郎達は、急いで外に出た。
「するってえと、するってえことは、アレだな、この穴は」
「余計なこと考えないの!」
コンピカリをやっつけた!
【座布団7枚獲得!総座布団数96】
コンピカリはウワバミの姿から、元の力士姿に戻った。
「いや〜、与太郎さんとやら。今後のご活躍、期待しておりますぞ」
コンピカリとタイタイに別れを告げて、宿に戻った与太郎とキセガワであった。
「で、どうするんです?このままエードに入るんですか」
「コンピカリを倒したから、この町にはもう用はないけど、座布団も後四枚か。どうせなら100枚にしてからエードに入りたいわね」
それでもいつまでもチャザの町にいてもしょうがない。お米以外のものも食べたいし、翌朝二人はエードに向けて出発した。しばらくの後、エードの入り口に到着する。
「エードに入る人達は、ここの天神様に寄るのが習わしよ。私達も願をかけて行きましょう」
天神様にお参りする二人。無事にDを倒せるよう、必勝祈願である。
「どうかDを倒して、ラクゴ国に平和を取り戻せますように」
しかし与太郎は別のことを考えていた。
(キセガワさんと一緒になれますように)
そんなことはいざ知らず、キセガワはボソッと言った。
「座布団も後四枚、天神様がくれないかしらね」
そのとき、お社から声が聞こえた。
「お宮参り、ご苦労である」
なんと中から神様が現れた。恰幅のいい体型に若草色の着物を着ている。
「与太郎とやら、そなたの活躍、この天神もよーく知っておるぞ。キセガワも、よくぞここまでマヌケな与太郎を導いてきてくれた」
「か、神様!?本当にいるんだ」
与太郎は驚いた。
「ははは、驚いた顔がまた面白いのう。どうじゃ、先程の願い、この天神が叶えて進ぜよう」
「ええっ!じゃ、キセガワさんと一緒にしてもらえるんですか」
「何よ、それは!」
「いやそうじゃない。座布団が足りないのであろう。どうじゃ、この天神と勝負してみるのは。そちが勝てば必要な枚数だけの座布団をやろう」
天神様と妖喜利バトルだ!
【妖喜利バトル】
信仰心の厚いキセガワよ。ったく、与太郎の奴、何考えてんだか。私はそう簡単にあんたのものにはならないわよ!それにしても神様までがしたがる妖喜利って凄い。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
神様が絶対に叶えてくれそうにないお願いとは?
(与太郎の回答)
「普通の幸せが欲しい」
…あんたには縁がないものよ。
※初天神…古典落語の演目。
※お宮…笑点で宮と言えば、桂宮治師匠。
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