試し酒
「ほう、なかなかの腕前でござるな。よろしい、横綱にお目通りを許そう」
【座布団一枚獲得!総座布団数88】
「その前に、体を洗ってからね」
屋敷で湯を使わせてもらい、さっぱりした与太郎。横綱のいる間に通された。
横綱コンピカリは、奥座敷で酒を飲みながら待っていた。巨体に恵比寿顔で、人の良さそうな感じである。
「あんたが与太郎さんかい。あんたのことは仲間達から聞いているよ。なかなかの妖喜利の使い手だそうじゃないか」
「あら、六将軍の一人と聞いていたけど、結構親切そうじゃない」
キセガワは意外に思った。
「ガハハハ、妖喜利は楽しくやるのが一番。座布団を取った取られたと、目くじら立ててやるようなものではないんだよ」
「それじゃ、俺と妖喜利やってくれるかい」
「いや待て。わしはこれからちいとばかり用があるのだ」
「その割にはお酒を飲んでいるけど?」
と、キセガワ。
「実はな、これから花筏関と利き酒をすることになっておってな。その練習をしていたのだ」
コンピカリの前には、空になった一升瓶がゴロゴロ転がっていた。
「だからわしは今、あんたの妖喜利の相手をしてやることができぬのだが、それではせっかくここまで来てもらったのに面目ない。一つわしの弟子に相手をさせるとしよう。これ弟子よ、これへ参れ」
パンパンと手を叩くと、一人の妖怪が入って来た。その顔に見覚えがあった。
「あ、お前は、タイタイ?」
なんとチブチブ村で会った、タイタイであった。
「ご無沙汰してます、お二人さん。その節は誠にありがとうございました」
「何でこんな所にいるんだ?」
「実は与太郎さんを見て憧れまして。私も妖喜利を鍛えてみようと思ったのであります。もしまたコユーレイの奴がチブチブ村を攻めてきても、自分で撃退できるようにと、コンピカリ師匠に弟子入りしたのであります」
「ガハハハ、タイタイはなかなか筋がいいぞ。わしの後継者にしようと思っておる。与太郎さん、一つタイタイと勝負してみなされ」
タイタイとの妖喜利バトルが始まった!
【妖喜利バトル】
縁は異なもの味なものって言うけど、まさかここであのタイタイと再会するとはね。与太郎と妖喜利するですって?どれだけ成長したか見せてもらおうじゃないの。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
あなたは同窓会に行きました。久しぶりに会った友人と、昔を懐かしんで会話に花が咲きます。そのときの二人の会話を作ってください。
(与太郎の回答)
「みんなで秘密基地を作って遊んだよなあ」
「え、何でお前が知ってるの?それ友達以外秘密のやつ…」
…与太郎には秘密。
※試し酒…古典落語の演目。
※花筏…上方落語の演目。
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