火焔太鼓

「うひひ、面白いな」

 モグリのモグラは腹を抱えて笑った。

【座布団一枚獲得!総座布団数72】

「だが、ここまで足止めすれば十分だろう」

「キセガワさんをどこにやった!」

「うひひ、全ての女性が憧れる所さ。じゃあな、あばよ」

 モグラは砂に潜って行った。

「あ、どこへ行く!」

 砂漠に一人ぼっちで取り残されてしまった与太郎であった。


 一方キセガワは、ラクダの背に乗って猛スピードであるところへ行く途中であった。

「キーッ、下ろしなさいよ、この腹黒ラクダ!」

「ククク、お嬢さん。僕といいことしようね」

 不思議な紫の霧が辺りを包む。

「あれ、何かしら?何だかいい心持ちだわ」

 ボーっとなってしまうキセガワ。実はこの紫の霧はラクダの妖術だ。この霧を吸ってしまうと、催眠術にかかってしまうのだ。

「あら、素敵なラクダさんじゃない。私を好きなようにして」


 その頃、与太郎は困っていた。

「どうすりゃいいんだ?」

 少し歩いて追いかけてはみたが、砂漠は想像以上に歩きにくい。これではラクダとの距離は離れるばかりだ。そのときである。

 ズザザザザァッ!

 砂の中から、巨大なウナギが現れた!

「与太郎さん、与太郎さん」

「おわっ、化けウナギ。助けてくれ!」

「与太郎さん、与太郎さん。先日は私達の仲間を助けていただき、ありがとうございます」

「するってえと、お前はあのウナギの?」

「私は砂ウナギと申します。今日はお礼をしに参りました。見たところ何かお困りのご様子ですが」

「そうなんだ、実はこういう訳で」

「それでしたら、お任せください」

 砂ウナギは、与太郎を背に乗せて、砂の上を滑るように進み始めた!

「当てはあるんかい?」

「そいつはラクダオウです。腹黒いラクダで、この先にあるオアシスの宮殿に住んでいます。いい女と見るとそこに連れ込むんです」

 やがてオアシスが見えて来た。大きな宮殿があり、その門は閉まっていた。

 近付いて行くと、ポンポンポンポンという太鼓の音が聞こえてきた。

「きゃっ」

「うわっ」

 急にウナギが暴れて、与太郎は砂の上に投げ出された。

「いてて、何だあ?」

「火です!近付いたら蒲焼きになってしまいます!」

 大急ぎでウナギは砂に潜って行った。

「まあ、ここまで来たら大丈夫だろ。サンキューな」

 与太郎の前に、燃え盛る太鼓が現れた!

「くはは、燃えろ、燃えろ。ここから先はピラミッドの門番、この妖怪・火焔太鼓様が通しはせぬ」

「けったいなのが出て来やがったな。これもあれか?やっぱり笑わせるのか?」


【妖喜利バトル】

 催眠中のキセガワよ。これもあれかって、そりゃそうよ。ここはラクゴ国。一番笑わせた奴が一番強い。さあ、妖喜利行くわよ!良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。

(お題)

 あなたは催眠術にかかり、とっておきの秘密を暴露してしまいました。それは何?

(与太郎の回答)

 暑いときは蛇を首に巻きます。

 …エコ?ゾッとすることは間違いないわね。


※火焔太鼓…古典落語の演目。内容は本編とは無関係。

※紫…笑点で六代目三遊亭円楽師匠の着物は紫。

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