うどん屋

「きゃ〜、くっだらな〜い!お兄さんの勝ちよ」

 予想外にも駄洒落がウケて、チリトテ・ガールズは大喜びである。

【座布団三枚獲得!総座布団数12】

「それより、うう〜、気持ち悪い〜」

 与太郎はちりとてちんのダメージからまだ回復していない。

 そんなこんなで食事も終わり、部屋に行って寝ることに。

 だが、どうもお腹が落ち着かない。するとこんな音が聞こえて来た。

 うどん〜、うどん屋〜。あったかくて、おいしい、うどん屋〜。

「おっ、ありがてえ、口直しだ」

「もう夜更けだけど。今夜ぐらいはいっかあ」

 キセガワも、罪悪感に蓋をして付いていくことに。外に出ると、赤提灯の屋台が待っていた。

「いらっしゃい」

「よっ、大将。熱いの二つ…って、小僧さんかい」

 屋台を引いていたのは、まだあどけなさの残る少年であった。

「顔が青白いけど、大丈夫かい?」

「はい、私は風小僧と申します。こんなお寒い日には、温かいうどんで温まっていってください」

 少年が喋るたびに、ピュウウ〜と冷たい風が吹く。

「うう〜、ブルブル。何だか急に寒くなって来やがったな。何でもいいや、早くしてくれ」

「はい、お待ちどうさま」

 まるで風のような速さで、うどんが二杯出てきた。ほかほかの湯気がありがたい。

「おっ、早いねえ。こちとら江戸っ子でい、遅えのは大嫌いだ。いただきま〜す…って、もう冷めちまったのか?」

 さっきまであった湯気は消えてしまい、いかにも冷たそうである。

「ズルズル。ジャリジャリ。冷た〜い。うどんが凍ってるわ」

 うどんを食べたキセガワの吐く息が白い。

「うどんのシャーベットってのは、こりゃ珍しいな」

 すると風小僧が泣き出した。

「ウッ、ウッ。実は困っているのです。座布団を忘れていくお客さんが多くて。もったいないから回収していったら、いつのまにか私の妖力が強くなり過ぎて、あっという間にうどんが冷めてしまうのです」

「座布団は妖力の源だものね」

「このままでは、うどん屋を廃業して氷屋になるしかありません」

「それはそれで適材適所って感じだけど、だったら私達に任せてよ。ね?」

 キセガワにかわいく、ね?と言われてドギマギしてしまう与太郎。

「や、やるしかねえなあ」

 妖喜利バトルに勝って、風小僧の座布団を減らしてあげよう。


【妖喜利バトル】

 お待たせ。かわいいキセガワよ。与太郎を手の平の上で転がすくらい、チョロい、チョロい。ということで妖喜利バトル行ってみよ〜。良かったらコメント欄を使って楽しんで、ね?

(お題)

 職業は自分に合ったものを選びたいもの。そこで皆さん、何かの職業の人になって、どうしてその仕事を選んだのか理由を言ってください。

(与太郎の回答)

 クリーニング屋になりました。お前がいると、場が白けると言われますので。

 …漂白剤入らず。悲しい人生だわ。


※うどん屋…古典落語の演目。上方では「かぜうどん」

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