野ざらし

「ぶわははっ、面白いな、お主」

【座布団一枚獲得!総座布団数31】

「よしよし、帰っても良いぞ」

「いや、それより腹痛を治してくれ」

「ああ、そうじゃった。それならついでに治してやろう」

 妖怪万金丹は、パンツの中から金色に光る丸薬を取り出した。

「これを飲めばたちどころに治るぞよ」

「う、後で飲みます。さいならっ」

 逃げるように寺を後にする与太郎とキセガワであった。

 橋が掛かっている川のほとりで少し休憩する。

「どうするの?それ飲むの、飲まないの?」

「何か、治ったような気がする」

 元々バカに出来ている与太郎の胃袋である。放っといても治ってしまった。

「なら、もういらないや」

 与太郎はポイッと川に丸薬を投げ捨てた。するとたちどころに魚が白い腹を見せて浮かんできた。

「あ、危なかった」

 そのとき、橋の上から二人に声を掛ける者がいた。

「ちょっと、困るなあ」

「へ?」

 見上げれば釣り人らしき影が。

「これじゃ釣りにならないじゃないか。川に毒を流すなんて」

「あ、こりゃすいません。釣り人がいるなんて知らなかったもんで」

 逆光のせいで、釣り人の顔は良く見えない。

「いえ、これはね、毒じゃないんですよ。妖怪万金丹って奴からもらった薬でして」

 そのとき日が陰り、与太郎は自分が会話している相手の顔を良く見ることが出来た。

「ひっ、が、骸骨!?」

 何と釣り人は骸骨だった。骸骨はゆらーっと与太郎達の側に降り立った。

「イヒヒ、イヒヒ。キクラーを倒した奴がいると聞いて来たが、こんなにマヌケで面白い顔をした奴とは。なるほどなるほど」

「お前は、まさか、オチャマル!?」

 信じられない、といった顔でキセガワは言った。

「イヒヒ、花魁のお嬢さんは俺のことを知っているみたいだな」

「オチャマル!?本当にオチャマルなの?あの妖喜利六将軍の大将の!?まさかこんな所で出会うなんて!」

「な、何か、やばい奴なんですか?」

「気を付けて。こいつがオチャマルだとしたら、ラクゴ国きっての妖喜利バトラーよ。Dに匹敵する力を持つとも言われているわ」

「イヒヒ、若者よ。生き急ぐと痛い目を見るぞ。俺のように長生きしなくてはな」

 オチャマルとの妖喜利バトルが始まった!


【妖喜利バトル】

 キセガワよ。まさかオチャマルとは。でも強敵だからと言って、後には引けないわ。今のありったけの力をぶつけてやるのよ。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。

(お題)

 骸骨とミイラの会話を作ってください。どちらかに「お前、何やってるの?」と言わせて、もう片方に何か言わせてください。

(与太郎の回答)

 ミイラ「お前、何やってるの?」

 骸骨「ボディビルの大会に出ようと思うんだけど、もっと絞った方がいいかなあ」

 …どれだけ絞っても優勝は無理ね。


※野ざらし…古典落語の演目。

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