茶の湯
「イヒヒ、くだらないけど面白いや」
そう言うと、骸骨は操り糸が切れたように、力を失ってガラガラと崩れた。
【座布団一枚獲得!総座布団数32】
「オチャマルを倒したのか?」
「おかしいわね。オチャマルにしては手応えがないわ。おそらく、こいつはきっと操り人形よ。本物のオチャマルは別にいるわ」
キョロキョロと辺りを見回す与太郎であったが、それらしい影はなかった。
「行きましょう。私達が旅を続ければ、きっとどこかで出会うことになるでしょう」
その日は町でゆっくりして、明朝早く出立した。次の町に向かう街道での出来事であった。道端に老人が倒れている。
「お爺さん、しっかりして!」
「おい、大丈夫かい?」
老人は骨と皮ばかり。喉から乾いた息を、ヒィー、ヒィーと絞り出す。水を飲ませてやると、落ち着きを取り戻した。
「ありがとうございます、旅のお方。うっかり水を切らしてしまいまして、情け無いことにこのありさまです」
「良かったわ、元気になって」
聞けば、老人は、この先の町にあるお茶問屋の御隠居だと言う。お礼がしたいので、是非家に来てくれと誘われた。
「良かったら泊まって行ってください。ささやかですが、おもてなしいたします」
最初は丁重に断っていたが、御隠居の話によれば、町では宿がなかなか見つからない様子。それならばと、好意に甘えることにした。
「へえ、なかなか立派なお宅だな」
「旅のお方、先程はどうも九死に一生のところをお助け頂いて、誠にありがとうございました。こちらは私共の店で出している、青茶という貴重なお茶でございます。どうぞお召し上がりください」
「そうかい?ありがたく頂戴するよ」
そうは言ったものの、躊躇う。その名の通り青い色で、泡が立っている。恐る恐る口を付けると、何だか妙な味がする。
「何だい、これは?」
「青ぎな粉とムクの皮の粉を混ぜて作ったお茶でございます」
そっと茶碗を置くキセガワであった。
「ところでお二人はどんな目的の旅でして?」
まさかDを倒しにとは言えないので、適当にお茶を濁す。
「いえね、ちょっと妖喜利バトルの修行の旅でして」
「ほう、武者修行ですか。それはそれは。妖喜利はいいですなあ。実は私も若い頃は夢中になっていたときがありました。久しぶりにやってみたくなりましたな。どうです、人助けの続きと思って、一つこの老人の相手をしてやってはくださらぬか。もちろんタダでとは言いません。座布団三枚差し上げますが、いかがです」
何故か御隠居の物言いは、有無を言わせぬ迫力があった。
【妖喜利バトル】
キセガワよ。このお爺さんも、妖喜利が好きなのね。昔取った杵柄というやつだわ。座布団も三枚くれるって言うし、一丁揉んであげる?良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
こんなお茶会、行かなきゃ良かった!
(与太郎の回答)
話題が配線のことだけ。
…苦手だわ。頭がこんがらがりそう。
※茶の湯…古典落語の演目。
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