お化け長屋

「ひええ、お見それしやしたぁ〜」

「どうだ、参ったか!」

 相手が弱そうだとなると、強く出る与太郎である。

【座布団一枚獲得!総座布団数21】

「しかし泥棒でも普通の方法でも座布団が集められないとなると、弱ったな。炒飯先生に顔向けが出来ない」

「もしかして、あなたが座布団を狙っていたのは、その赤坂炒飯という人の指示なの?」

「そうでがす、花魁のお姉さん。炒飯先生は座布団を集めているんです」

「てえことは、その炒飯って奴もDの手下か?コユーレイやコーラルみたいに六将軍の一人か?」

 と、与太郎。

「六将軍にそんな名前はいなかったと思ったけど」

 首を傾げるキセガワであった。

「気になるのでしたら、炒飯先生のお宅にお邪魔してみるといいでやんす。先生はこの町の長屋に住んでいるでやす。一つだけ、真っ黄色に塗られているお宅ですから、すぐに分かるでやす。ただし、あそこに行って生きて帰って来た人はいないでがす」

 天津飯は、ピューっと風のように去って行った。

「何だあいつ。不気味なことを言い残して行きやがったな」

 その日は宿に泊まった二人。翌朝、宿の人に聞くと、真っ黄色の長屋というのはすぐに分かったのだが。

「悪いことは言いません。行くのはおよしなさい。あそこは化け物屋敷ですよ」

 宿の人間も恐ろしいことを言った。

 教えられた通りに行ってみると、本当に真っ黄色の長屋があった。

「こんな派手なのが化け物屋敷か?こんな所に住んでるのは、よっぽどのバカだと思うぜ」

 与太郎がぼんやり見ていると、中から全身黄色装束の男が出てきた。

「うわっ、出た、化け物!」

「良く見なさい。趣味は悪いけど、普通の男の人よ」

 男が口を開いた。

「さっきからバカだの化け物だの、聞いておけば失礼な奴だ。私は風邪を引いたことがないから、少なくとも化け物ではない」

「バカは認めるのね」

「そう、認める。正直に認めるから、座布団おくれ」

「危うく本来の目的を忘れるところだったわ。あなたが、えっと、赤坂炒飯?黄色いけど」

「赤坂だって黄色は着るぞ。黒田さんが白い服を着て、白井さんが黒い服を着るように。それに黄色は炒飯に欠かせない卵の色だ!」

「とりあえずあんたがバカだってことは分かったわ。それより、あんた座布団を集めて何をしようというの?もしかしてDの手先?」

「ぐふふ、知りたければ私と勝負して勝つことだな!」

 妖喜利バトルが始まった。


【妖喜利バトル】

 賢いキセガワよ。ところで化け物って風邪引くのかしら?どっちも引かないような気がするけどね。それより妖喜利行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでね。

(お題)

 今回はシンプルに、こんなアパレル店員は嫌だ!で行ってみるわね。

(与太郎の回答)

 床に書いてある接客マニュアルを見ながら接客する店員。

 …これが本当の客の足元を見るってね。


※お化け長屋…古典落語の演目。空き部屋に入居者が来て欲しくない住人が、お化けが出るという噂を流すが…。

※黄色…笑点で黄色の着物と言えば、林家木久扇師匠。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る