いたりきたり
「うむ。まあまあじゃな」
【座布団一枚獲得!総座布団数74】
「それじゃ、そのいたりきたりってのがいる所まで案内してくれるんだな」
ラクダジョオウの案内で、複雑な宮殿の中を行ったり来たりして、ある部屋に辿り着いた。
「ここが、いたりきたりが反魂香を守っている部屋じゃ」
扉を開けると、宝箱が沢山あった。その前を、フェレットみたいな動物が大勢行ったり来たりしていた。
「この中に一匹だけ本物のいたりきたりがいる。そいつが守っている宝箱が、反魂香が入っている宝箱じゃ」
「みんな同じに見えるが。こいつか?」
与太郎はヒョイと一匹摘み上げた。
「それは、だしたりひっこめたりじゃ。ほれ、舌を出したり引っ込めたりしておるじゃろう」
「本当だ。何かバカにされているみたいだな」
「ほれ、早く探さんと女が危ないぞ」
「ちょっと前に何かこんなのやったぞ!?」
文句を言わずにいたりきたりを探さねばならない。
「こいつか?足をドタバタやってる」
「それは、ふんだりけったりじゃ」
「このチカチカしてる奴は?」
「それは、ついたりきえたり」
「このエサを食べてる奴は?」
「それは、のんだりくったり」
「このぐうたらな奴か?」
「それは、ねたりおきたり」
「この分身の術を使う奴じゃないか?」
「それは、ふえたりへったり」
「この偉そうな奴でどうだ!」
「それは、なかとみのかまたりじゃ!」
与太郎は部屋の中を行ったり来たりしながら、片っ端からいたりきたりを探した。だが、驚異的な運の悪さを誇る彼は、なかなか正解に辿り着かない。
「くあ〜っ、一体、どいつがいたりきたりなんだ」
頭を抱えてうずくまってしまった。
「ああ〜、この中に本物のいたりきたりがいたら、返事をしてくれ!」
すると、宝箱の前を行ったり来たりしていた、ある一匹が立ち止まってこちらを見た。
「呼んだ?」
「え?」
そいつの所に近付いていく。
「お前、いたりきたりか?」
「そうだよ」
「じゃ、お前が守っている宝箱には、反魂香が入っているんだな」
「正解」
「…………、何だったんだ、今までのは」
「反魂香を取る前に、オイラと一丁勝負しようや」
いたりきたりと妖喜利バトルだ!
【妖喜利バトル】
キセガワよ。灯台下暗しとは、このことね。以外とシンプルなのが、一番の解決策ってこと、あるわ。それじゃ妖喜利行ってみよ〜。良かったら、みんなもコメント欄を使って楽しんでみてね。
(お題)
今回の問題は「◯◯たり◯◯たり」を利用します。何か言った後に、◯◯たり◯◯たりを付けて、面白い文章を作ってください。
(与太郎の回答)
「男と女の関係は、騙したり騙されたり」
…与太郎の場合は、なかったりなかったりじゃないの?
※いたりきたり…桂枝雀師匠の創作落語。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます