第22話 睥睨
あれからやけになったメイミアが金魚が泳ぐ袋をぶら下げ、ゆらゆらと
茶髪で十六歳位の人と袖を
「食べたいけど彼と周っシオン? って、やっぱり食い物かい‼︎」
反射で逸らしていた先はお好み焼きと書いてあり、奥の神社の方に行くメイミアを二人組は「もしかして友達とはぐれちゃったのが嫌、マジでごめん。本当は一目惚れで」と追い掛けた。
俺は途端に視線を感じ逆方向へ歩いていた。
「誰見てんの?」
「え。いや今通った子可愛いなって…」
「…最低」
時に。
「さっき綺麗な人と居た人だよ、ヤバイ目の保養だわ」
「でもあの人、女の子じゃないの?」
「違うでしょ。男物着てるし……声掛けちゃう?」
そして逃げる様に進んでいたら誰も居ない広場に来ていた。
ただ、人当たりに
心臓が止まる気持ちで振り返ると同い年位の女の子が三人居たので「お祭り…ああ。この方向に行くとありますよ」と来た道を伝え席を外す。
つもりが「来たばかりでどこ行くんですか」と浴衣の子が上品に首を傾げ、フルーツが香る子が隣に来る。
また、ブレスレットを付ける子は「一緒に行きませんか?」と続けた。
思わずどう応えようか迷う広場にエンジン音が聴こえ出す。
「あっ…やっぱり私達。ごめんなさい帰ります」
目で意思疎通する女の子達は足早に広場を出ていった。
妙に不自然で、更に疲れたし石器席に座り直す。
それが、あっという間の異常事態かの爆音が広場を取り巻いて二輪仕様の車で埋め尽くされた。
まばらに停車し派手な人集りに全視線を受ける俺は、
したら男の瞳孔が迫り出し、追い打ちかと思えば「何だよ、ヤケに機嫌悪そうだな。気になってちょっとからかっただけだよ」と笑い混じりでしゃがみ込み「一人か?」と聞かれ「嫌味か…」と零れる。
「っはは! 威勢はいいがそんな態度じゃ仲間に入れないぞ。まずは挨拶だ、それが出来ないとここでは駄目だ」
腕を組んで頷く男、そんなやり取りに疲れが込み上げてくる俺は「帰ろ…」と零れた。
「
「……。」
「名は?」
「シオン」
俺は席を立って来た道を戻ればいいと、思っていた。
和樹に腕を掴まれる。
思わず口が開き掛けるが「一々絡むな!」との言葉で和樹の握力がほどける。
声の主は全員の注目を受け、数十人を囲った中心の人物で長髪金髪の同い年。そういう風に見える男に和樹は向き変えて手を離す。
「悪いつい」
陽気に応える和樹。
俺は中心の人物に向かう。
釣られるみたいに、今一番欲してる魅力を感じるし野次馬も気にならない。
辿り着いた俺は「どっかで会ったことない?」と見定める。
顎を持ち上げて見ていると今にも殴られそうな顔前で短髪黒髪を写し出し、パズルをはめる様な脳内で合わさった。
「ミグサじゃん!」
そう言って完全にミグサと容姿が一致した俺は元気が湧いて「急に変わってたから気付かなかったよ。イメチェン?」と弾んだ声が出る。
しかし噛み締める様に「お前…誰?」と、虫唾が走るかの眼差しに「誰って俺だよ…シオンだよ。もしかして転移したこと怒って…」と頭が真っ白になっていく。
また「シオン、転移、つうか。お前みたいな
一周し
情熱的な人達と次々に目が合っている、この知らない輩より、見るべき相手はそばに…いて「だって。魔王城に来てくれてあの時」と篭っていた心情が多くの笑い声に消えていった。
「はいはい。水城さんは知らないから、いい加減」
「「埋めるぞ」」
突然の掛け声がそう聞こえた。というには鈍感過ぎる位内心しんどくて嫌われたくない。
そんな顔しないでくれ、いつもみたいに「笑って…」と呟くが笑い方を知らない。
咲う位にしか言えない表情で士気が上がった総勢五十人、やっぱりミグサの顔色は変わらず、男二人がナイフを出す。
左右からナイフの刃先が俺の米神を狙い、
ただ自滅する未来が浮かんで、一歩下がっていた無人の両端から互いの顔面にナイフが目掛ける結末が目の前にあった。
けれど死なれるのも嫌だから「ほらね?」と抑えていった。
ナイフが地に転がる。
男二人が地べたに発狂中「そこまで怖がるなら刃物振り回すなよ……ところでミグサ。どうして止めてあげなかったんだよ」とぼーっと眺めるミグサに伺う。
何があったんだよ…。
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