第49話 尊ぶ
「親友…。」
ミグサは微笑んでいた。
血の滲む声からひしひしと感じて。後ろから
「お前の象徴を
運でいえばその通りだった。ヴァレンがいて、ユキ君がいて、ミグサがいる。
けど「どうして?」と零したら「ここに黒魔術界の長がいる。俺は王の
焦っている口数は途端と止んで、待っている間に身震いを起こし出すミグサは。
心が、壊れていた。
「ヴァレン。白の王様の居場所は?」
「南の城にいるそうですが、あの侵攻具合ではもって一日ですよ」
冷淡に、それでいて疑問の声が混じるヴァレンはユキ君と顔を合わせた。
お互いが傾げて「
だが原因の処理は本質に近い程効果的だと、レナの諭しが頭に流れていた。
「一度遭遇したものはこの先も遭遇し易い。王を獲ろう」
そう紡ぎうっとりしたヴァレンの隣で泡を吹くユキ君。
よって先ずフォールオルドを。
はずが服を掴まれ「ずっとだ。亡くなるのはうんざりなんだ。頼む…」と聞こえる。
どうやら家系の事情で弱い奴は要らないと、それがミグサの記憶している父親の言葉。
家人達はミグサを守り、数々の仕打ちを身代わりに亡くなり。
ただ静かにそう語り数滴の涙が地を濡らした。
「分かった」
「ありがとう」
前に立つミグサ。
背中から安心感があり。
この感覚を知っていれば、なんて想像する辺り過去を実感する。
もはや一生忘れそうにない。
はあ。
なら責めて思いっきり耽られる様に「フォールオルドは渡さないよ」と振り返っていった。
「わた?」
「小さい頃にフォールオルドを見て、興味合った。でも縁がなかったんだ」
「は…? 囮は俺だ。二人にも感謝してる。仲間なんだろ? シオンの…家族?」
ミグサはヴァレン、ユキ君を見るや否や放心。
ユキ君は「本音は黒魔術界最大勢力主要構成員達に囮は通じない」と紡ぐ。「歯向かってはいけない、それがこの世界の常識」だと口にし「そうか」と零すミグサ。
そんな二人に「クラ…。ウザ…。」とヴァレン。
軽蔑的な文言に「そうだな、この状況を作り出したのは俺だ。一か八かでも逃げ道は作る」とミグサ。しかし「結構です」と続く。「願わくば先輩と土に還る。ユキとあなたが墓建てて私達を一つになさい」との事に「よしヴァレン。骨は拾う。安心して眠れ」に「おい家族なんだろ。尚更俺が!」との間に「魔術師が悪人助けてどうするのさ」と俺はなお紡ぐ。
「当時参謀だったし白魔術界から天災って指定されてた」
また一人でいいとヴァレンに言い聞かせていたら「それは正式に風聞と公表した、誤認の。それが何だ笑えねえ」と困惑な空気。
俺は贈った象徴を丁寧に取り外し、魔力を纏い、黒一色が空気を泳いでいく。
「天災の理由はさ。四年前にエルコンドルが攻めて来て、俺が」
「冗談は辞めろ、魔術学校で会ったお前が、人殺しなわけが」
そう言って心拍の急激な上昇、胸に手を運び嘔吐した。
だが死の連鎖から引きずり出すには「黒魔術界の王を取った少年は凡ゆる魔術が効かない固有のベールを扱い、象徴は青い羽根。でも、君臨した少年はある人に殺されかけ、それから象徴に魔力を貯蓄したんだ」とベールを宿して象徴を見せる。
「死ぬ程強いんだよアイツ」
「分からねえよ…」
「
俺はそう言って象徴を斬ると見開いた様に、予期するミグサには充分に伝えた。
また圧縮していた器から間接的に魔力量を全開にできるその象徴はミグサに蓄えられる。
「これで魔力量は回復した、あとは嫌われるついでに。ここは黒魔術の世界。頼れるのは強さのみ。だから魔法陣を創り力を証明するって事は俺らにとっては寿命を縮めるし、分かり合える筈ないと思っていたけど」
咲う狂人に歩む。
「もし俺が戻れたら、その白と黒の同盟を。平和な世界にいたミグサならできる」
「俺は…」
黒い魔力を帯び、混濁するミグサはそう言って「平和をみる目は肥えてるつもりだ」と、生命力が回復の兆しに向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます