第37話 御礼参り

 縮こまる部長に対立の光景、鎖、木刀、鉄の棒を所持するざっと二百人の大勢に「多分…御礼参り…」と翔。

 大勢の先頭から「翔さん、ある奴に二人がられたそうだ。居場所を知らないかい?」と口頭した風貌は刈り上がった髪の男性で、また「応えてくれないか。病院送りにされた現場で、そいつと仲良いらしいな。失望だよ」と鉄の振動音が響いて止まず、大勢に多くの遺憾が伺える中「いい所で見つけました…」とシイナが俺を見つめ、その囁きが「その人なら僕らの後ろにいますよ」との声が「別に庇うつもりはなかったし、刃物振って病院で済んだんだ。良かったんじゃねえの?」との翔や「そうだな。アンタから聞ければ満足だ。これで未練なく始末できる」との口頭で消える。

 男性が鉄の棒を振り大勢の活気が上がる所を見るに、代表者。

 翔は首を振る部長のそばで「失望ついでだ、お前らは死人を慕い過ぎてる。形見は終わりにしてやれ」との口頭で凍てつく大勢。

 代表者は「俺らを拾ったあの人が全てだ、ここに居る連中は片時も忘れやしねえ‼︎」と歯を立てれば芝からあり得ない足音や「どうなるの私。嬲られる、死ぬの…」と膝から崩れ落ちる部長。

 しかし「こっちには総長が居る。そうよ。この人達の頂点だよね大丈夫よ!」と立ち上がる。

 部長にしがみ付かれる翔は優しい面影で「相手は二百人だ。大丈夫な訳ねえよ! 逃げるにも場所が分からねえしどうすんだこれ…」と、圧倒的な支配者だった翔は右往左往に見渡す。


「アンタ総長だったんでしょ! しっかり特攻なさいよ‼︎」


「ざけんな人間卒業するわ‼︎ いやそんな事いってる場合じゃ」


 代表者は見苦しいとばかりに「あの人の兄弟と思ってたが、血縁は見た目だけだ…アンタはあの人と別人だ。これ以上醜態を晒されては沽券に関わりそうだ」と充血した目を見広げる。

 残りの距離を加速させ、部長を匿う翔との狭間に「だな」との声、代表者は横目に薄笑いを写した途端、走りを止め、大勢は騒然となった。

 耳を澄ますと「静かに、耳が壊れる」と祭りの様な熱狂に耳を塞ぐミグサの姿。

 代表者は「死んだんじゃ…、夢…」との言葉や「殴ってくれませんか…」と感嘆な声に「いきなり何カミングアウトしてんだ。つか早く行けよ? 面白そうだし参戦したんだから」とのミグサは「死なないよう見てるから行ってこいよ?」と発言や静寂。

 そんな静寂を噛み締める大勢が嬉々として叫び出す。


「「しゃあぁあああああああああああああああ‼︎」」


 我こそが討ち取ろうと人々は翔に突っ走り「アアアアアアアアアアアアアアアアアア‼︎」と涙がちょちょぎれる部長。

 鉄の棒が振るわれ、腕には鎖が巻き付き体勢の崩れる翔にみるみる集る。

 袋叩きに無防備とも見えるが、部長に被害が被る配慮をして、一心不乱に武器を、致命傷を避けて凌いでいる。

 そう視察していた俺は翔の鎖を引き千切って、人々を倒しながら思う。

 死なない様に見てるって、俺の事なんだと実感していたら翔に呼ばれ、言いたい事は悟った。

 部長を呼んで「歯を食いしばって」と手を掴む俺は遠心力の様にして「この人はアユラの血縁関係だと思う。守って」と離し、ミグサは部長を抱え「助かった」との翔は気が引けており、総じて動く人は居なかった。

 俺の足元へ鉄の棒を刺したミグサ以外は。

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