第14話 いみ

 飲食洋服といった街並みから外れ、警報が鳴っていた。

 案内音声があり、黒魔術師の侵入が確認されました。繰り返します。黒魔術師の侵入が確認されました。魔術系本部または準ずる人へ目撃情報を求めます。外見は黒いマントや金色の髪、歳は十六あたり。

 応戦した魔術師八名が重体、緊急巡回発令中と流れていた。

 俺は廃墟の団地に着いて、壁に寄りかかって言った。


「重大だってよ」


「重大になるほど能力に制限を掛けるからでは?」


 前方からそう聴こえる。

 逆光によってぼんやりと同い歳位か。

 紅い羽根のピアス、右目を瞑り、歩んでいた姿が眼前に映る。


「やっぱりッ…!」


 言うと腹部に拳を打たれ、壁からずり落ちる。

 偶然見掛けたんで挨拶しに来たら、跪く姿を拝見したくないんですが、いい訳ありますか?と覗かれる俺はないし偶然って、本当かよ…と聞いた。


「偶然ですよ、偶然。先輩が居たから確かめたんですよ」


 そう言っている彼女の名はヴァレン。

 立ち上がっていた俺は胸に指が触れられ、触れるものを凍結していく。

 この魔法陣をかいせず創る魔術は法則崩ほうそくくずれという黒魔術きんだん

 実例では身分剥奪や禁固刑など法の裁きが下る。

 そう定めたのは白魔術界の王で、アルタイルには白魔術界と黒魔術界の領土に分かれており、その法は黒魔術界に普及していない。

 それは黒魔術の方が殺傷能力が高いため、劣悪な治安で身を守るのは黒魔術に依存している。

 ただ今は白魔術界という魔術師の管轄。

 俺は目で誘う。

 火を注いだ様に侵食していく凍結が、それが、弱まった。


「つい」


 冷淡に収まる黒魔術。これで半身の身動きが取れない俺は紅い羽根シンボルを付けられ抹消なら真剣にやれよ…と情が込み上げた。

 ベールを解放すれば凍結が弾け戦がれる。

 この風から見知らぬ魔力を感知した頃。


「私達は先輩の帰りを待っていますから」


 外したら居場所を報告しますよ。どうしますかと続いた。

 俺はもう一人も、約束してくれるならいいと伝える。

 その時ヴァレンの横地面から風が立ち込めて、現れたのは少年。

 風が彼を包んでいた仙人の様な歩法だった。

 聞くと移動系のスキルと応えた童顔の小顔。

 紺色こんいろのジーンズに薄い革製を身に付ける白銀髪の美男。

 ヴァレンはややこしくなるから付いて来るなと伝えていたらしく、目付きが強張るヴァレンと彼から喧嘩に発展しそうな魔力が漂っていた。

 しかし偶々で無いと分かったし、俺は目的は何?と聞き込んだ。

 すると嘘じゃないっす、スイーツ食べたいって付き合わされたら貴方を見つけてと彼が応えた。

 あの女のどこが良いか問い詰めてやるってテーブル叩いてヴァレンが貴方の所に行ったって感じっす。

 彼はそう言ってレシートをヴァレンに突き出す。


「金」


 アユラと行った喫茶店のレシートが一致してると密かに確認していたらヴァレンが荒げていた。

 何恥ずかしい事暴露してんのよって頬を引っ張られる彼がじ…じじ…事実だ、あと報告も面倒ごとも御免っす。とこちらを伺う。

 私の象徴シンボル、外したら如何なる時にも襲いますからと強迫して行くヴァレンを追って彼も居なくなる。

 街を歩くと人々に避けられ日が暮れた。

 窓の修理業者にウチではそういう方の依頼は…との事で部品を買って帰宅した。

 知識なしで行う無茶な挑戦だったが修理できた。

 綺麗になった窓を見つめ、モヤモヤしてる所に凄…カーネーション飾ってあるとメイミアがいた。

 それは沢山断られた世間話から熱意を評価してくれた人から貰って、と言うつもりが凝らした目で近づいて来る…。


「ヴァレンの象徴シンボルか、どうしたの?」


「偶々会って付けられ外したら襲われる」


「???」


 固まっていたメイミア。

 それが思い立ったかの「外したら来るのか!」と伸ばしてくる手。

 避けてベッドに座った俺は気に入ってるのかなお兄さん?と言われた。


「気が済むまで、メイミアだってそこに居たんだから」


「なーんだバレてたんだ」


「さっき居たの?」


「いないけど?」


 会話が噛み合わない。

 考える力が失せた隣にきっと淋しかったんだねと横たわるメイミア。

 俺はドアを閉めて浴室にいく。

 シャワーを浴び会った印象が浮かぶ。

 何だかんだで仲良しそうだし、憎悪に苛まれる。

 洗ってあげると浴室に入ってくるし、何なんだよ、一体。

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