第54話 不老不死
それが奴隷身分から狂人へ、闊歩を正銘した最期の言葉。
俺はその様に
『下がれ』
不屈の声が人柱達から聞こえ、下に付く人々は従う。
彼らの師や大将は生き永らえる信仰と共に影響力があると信じて「聞いてくれ人柱、その者に付く全てのために。そしてヴァレン、ユキは戻りなさい。会頭がいる。同様にみな、身の保証が高い所へ避難しろ。
「シオンは、この存在とどうするつもりだ。また渡さないなんて言わないよな…?」
黒い魔力を纏いミグサ。
みながその姿に見開いていた。
それは黒い霧が一瞬発現した支配下だった。
黒い霧というのは冷気の様に流動的且つ疾く。
何もない。
黒い霧が過ぎた形跡はもぬけの殻。
ただ風が吹き抜けて、その時魔力を纏えていたのはミグサのみ。
「今の何?」
「は?」
聞くと何故か通じてない。
無意識なのか。
偶然で片付けるには可笑しくて、鼓動が増す。
「いや。同盟に応えたい」
さっきのが何なのかは触れないでおこう。
これ以上は。
◆少なくともさっきの支配下は俺より上だった◆
ただ今は心臓を握られているかの圧迫感や、そういう存在感がフォールオルドの地に、あの日、神社で観るあの影がある。
雷の様に奔る幾何学紋様、その中心に集まっている規則性。
亡くなった身は液体の様な原型と化し影と融合する。
漆黒の霧を飛散して立ち上がるこの存在は──
「俺はこの土地を治めていた魔人だ。よろしく後輩ども」
自身をそう表現した魔人は、神社で会った影達と異なり、笑みでいる。
黒装束の容姿、成人の体型。指輪を装飾する、赤みのある髪、赤い碧眼と目が合う。
「フォールオルドからずっと観ていた。お前が現、黒魔術界の王か。いいのか? 後ろのガキが言う事を聞いていないが?」
突き出した上半身で、両手を仕舞っている魔人が幾何学紋様の眼になった。
それが息をもって高い空を見上げ「まあいい。もう一つ気になっていたのは全力だったが、こんな弱えーのか…今の黒魔術界は。ハッ! 礼儀もなければ
存分に満喫した時を経て、人柱に歩む。
既に森一帯を支配する者へ。
その支配下は津波の様な青い風。
魔人は左右から戦がれ、瞬時──魔人の心臓へ右手を貫くハイライトや、大地は
油断だったと予期した頃には俺の声が森に響いた。
「なっちゃいねーよ。罪人なら、後ろから狙え。ハイライト」
全身から血飛沫が上がり地に倒れるハイライト。
金色の髪が赤く濡れ、魔人の足場から赤い泡が弾ける。
「以下同上だ。シエラよ」
頭の線が切れたかの形相。その姿は俺を過ぎて、大地を燃やすマグマの球体、それが複数。魔人の大地から上昇し。
燃えて──
呑んで──燃やす──
そうしてシエラが斬り掛かる前に俺は走っていた。
全神経が危機を通り越して、シエラをフィナの場所に投げた時、黒い剣を魔人が握る。
その後に何があったかは分からない。
ただ左手が焼け、黒い剣ごと腕力で森の外に吹き飛んでいる感触があった。
幸い。ベールは体を守っている。
平衡感覚が無くなる位に回った俺は、退屈そうな魔人に向かい。
「ああ。メイミアといてこんなもんじゃ…とっくに
燃えたぎる渦中、魔人は
愛おしいくらいの表情に変わって、炎が消失した。
「悪魔が使う貴方に会うために。地獄の第一階級・
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