第2話 契約者

 また体をさする黒光りの生物に「これ以上かれてたまるか」と掴んだらビクっとした。


「困ります」


「こっちの台詞せり……!」


 俺は観察して思う。さっき俺の中から出て来た事を聞くと縦にふりふりしてるし悪寒がする。

 そんなわけ無い。

 ないけど目をつむり、汗が吹き出す俺に「はい」と黒光りの生物。


「お”え」


 俺は「落ち着きましたか?」と看病され考える。既に、なんで憑依ひょういしていたか思うと背筋凍るし。


「うぷっ」


 耐えながら「傷付きます」と頭に響く。浮遊力が下がって項垂うなだれた様に見える。


「なんかゴメン…でも」


 元気に「分かってくれたのですね!」と飛び込んでくるがかわし、体に居られるのは嫌だと壁に激突げきとつする光景に伝えるが、穴の跡や破片を散らばらせて来た。


「何で嫌なのですか?」


「大いに嫌だろ。一応言っとくけど、俺の血とか臓器美味しくないからな」


「あの、僕を何だと思ってるんですか」


「新手の寄生虫」


「は?」


 空気をりジグザグに飛びねる黒光りの生物。

 どういう心境か分からないが、また催しそうになるし「いえ…見た目が恐ろしいので寄生虫じゃなかろうがお断りします」と、あきらめてもらうために俺は何をしてるんだろう…。


「恐ろしいって。仰いまして?」


「うん」


「え嘘本当に…僕が…もう! 照れますよ!」


 更に増しながら意味不明と、言い掛ける時。

 つぅーと。

 不自然な風に硬直した。

 誰?

 しかし探っても人一人いない。

 片やぴょこんと跳ねるその、水面の様に頭上の空気に触れたかの現象から黒光りの生物は地に液状となった。

 水面の様に揺れる空気から煙が降りいて液状をおおい、充満していく中から人の影が見えてくる。


如何いかがです、如何ですか⁉︎」


 下方を仰ぐ風で足首が映る、煙が薄まるとそでを折った小麦色の服にくるぶし丈のスカートを着る、黒髪の紅い碧眼へきがんの少女が告げている事に。


「ッ⁉︎」


「やけに凝っていらっしゃいますね、興醒めしました」


 少女は手を振い空気を揺らす、煙が充満しあの生物に戻っていた節目に「ふう」と繋げて喋る。


「大袈裟に褒めても僕は…あの、何を驚いて?」


 顔前でぴょんと跳ねる。


「何がしたいの…」


「ですから戻りたいんですってば!」


 壁へぶつかっていた衝撃しょうげきが地面をふるった。

 俺は「精霊と十七時間って分かったから」と言い聞かす。

 周囲の災害や空気を使わす現象、喪失感が歯止めをかけられる内に。


「痛いんですが、やっと理解してくれましたか!」


「…。え、うん名前は精霊何だっけ?」


「その、精霊は名前でなく。いえ、伝われれば結構です」


「うん(さっぱりわからん)……名前って?」


「ええ、名は。シイナと呼んで頂ければ?」


「シイナ。分かった……何で俺の中にいたの?」


「契約を交わされたから、です。異界の書の事項に記載されていなかったですか?」


 ──全然見てねえ。


「あ、あははは! 見て、なかった。ゴメン…もう一度。分かりやすい説明でお願い!」


「…異界の書と契約成され、封じられていた僕が解放されました」


「…。生まれたんじゃなく封印されてたの?」


 ──小難しいが不思議とそこは気になった。


「生まれましたし封印されてましたが、精霊として…‼︎」


 上擦うわずるシイナ。

 びくんと、もぞもぞと俺を軸に回り「で、ですよ? シオン様とは仮契約ですから、そろそろ戻らせていただかないと消滅してしまいます!」と服を掴まれるが予期はしていた。


「嫌だ。覚悟の種類が違うっていうか、体に入れるのは。でも消滅されるのは気が引けるから他あ゙あ゙」


 相談中手先を弾かれ体へ擦り抜けた。


「おい出てこい‼︎」


 ………出て来いともうされても、仮契約中で上手く馴染なじめていないのです。意識もじき無くなります。またの機会に………


「機会っていつだよ返事してくれよ!」


 シイナの反応がない。

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