第108話 一心同体
ヴィシュヌはタルタロスと話し込んでいた。空の瓶が並んでおり、ほろ酔いの顔が多く広がる。ワルプルギスとシヴァは意気投合して「競争とは、調和の先に」と聞こえる。
シヴァに熱中している様で相槌は瞳孔で反応していた。
ツクヨミは本堂に戻り、ヴィシュヌ、タルタロスへ行ってきたらとの声に
「儂はヴィシュヌ。こっちはタルタロス。最初に姐様と話した時は二人で張り倒されたのが儂らの笑い話しになってるが、愚冴は大丈夫だったか?」
「俺は叔父貴に、ヴァイシュラヴァナに救われて必死だったから、姐様とは、ここでそう呼ばれてるのか?」
「だな。自然に姐様と呼んでいた。みんなが呼んでるから、親父は別だが、付き合いある方々は鬼神や、十羅刹女や、色々あったな」
ヴィシュヌはあごを摩った。
タルタロスは「俺らは名前で呼んでくれ。兄弟」と頭を摩った。
「ああ。自己紹介の準備をしてなくて、共通の知り合いがいれば良かったんだが、面白い話を持っていないんだ」
「そうだよな。俺らは親父のひ孫って聞いて一方的に興味あった。でも若も水臭いよな。墓場まで孫の存在を持っていくとは」
タルタロスはヴィシュヌに話をふった。
「こうして縁を結ぶのは若にしかできない事だったんじゃないか。優しい人なんだから」
そうだなとタルタロス。また思い出した様にハッとした。
「そうだ。ヴァルデのところに近く行ってくるといい。シグラ、ブラバン、フィリップ、ラスカリナの姉なんだが、病でな。兄弟を気になってると思う」
「分かった。優先的に行くよ」
「ああでも急いでくれるな。ここでは慣れるまで大変だろう。特に環境が大きく変わるのは、学校とか、学生だったと聞く。一度行ってきた方がいい、担任や友達にも。その時は
「いやそこまでは、対して難しいことではないから」
「いや兄弟。ここに来るって事は普通じゃいられない。姐様から男雛様を迎えに行くつう伝令で俺らも来た。ゼウスの雷霆止めたって実力も知ってる。そんな一紋として引き継ぐ兄弟にいずれにしろ追ってもある。ゆっくりでいい、一心同体と思ってくれるまで、俺らはここにいるから」
タルタロスの口頭に頷くヴィシュヌ。
言葉が詰まった愚冴は目を大きくしており、急遽腕で視界を拭った。
「すまない…なんか嬉しくて」
「儂も嬉しい。沢山喋れてな。あとはロキに譲るとしようか?」
「そうしよう」
愚冴は手に力が入る。二人の足音を聞きながらヴァルデに挨拶と、魔術学校に行く時には一紋に声を掛けると、決めて目を開ける。
するとロキと呼ばれる一紋が目の前にいた。
「あなたがロキ、ですか」
「そうです。ご無沙汰してます。男雛様」
「もしかしてどこかで?」
「いえ僕の勝手な思い込みで、境遇でしょうか。黒魔術界に踏み入れた際にはびっくりしまして」
「それは?」
びっくりと聞き愚冴は何の事か、そんな反応にロキはそっと「第六位、青い髪は
それは粛清対象と遭遇時の合言葉だった愚冴は「エルザ フォ ルジア」と応える。
「その人弟なんです」
「えッ?」
「僕の父はオーディン。そして黒魔術の起源。思い込みというのは会っていないのに、弟から話を聞いて変な紹介になってしまいました」
ロキは女神の様に美しく、微笑んでそう言った。
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