第5話  伯爵令嬢は友人を護る?

 この世界で初とも言える私のお友達。


 ランブロウ公爵家令嬢リーゼロッテ・ヴェラ・アルドリッジ。 

 

 ブリューム侯爵家令嬢ジルディア・アポロニア・ランプレヒト。



 三人揃って今年7歳の同い年。

 私達は知り合って直ぐに仲良くなったよ。

 うん勿論そこに忖度は――――ない。


 これは直感かな。

 ほら、飲み屋で一緒にお酒を飲み交わせばあっと言う間に意気投合しちゃいましたーってみたいな?


 まあそこは7歳だからしてキンキンに冷えた……ではなく熱い紅茶とお菓子やな。

 


 最初は普通に余所行きの顔でそれなりに澄まして。

 でもなんかね、一見お金持ちお嬢様ってリゼは四公爵家の一つランブロウ家の公女やからしてお嬢様然なのは最早搭載積み何やろうな。


 せやけど話してみるとこれが違うんよね。

 めっちゃ元気溌溂な7歳の少女やったわけ。

 おまけに少しツンとデレが入っていてもう最高やん。


 そしてもう一人のジルはと言えば見た目通りの控えめな、いやいやかなり自己評価の低過ぎる、もう何を話しをしてもなんやで。

 おまけに話しながら自らの墓穴を掘りまくると言うレアなキャラ。


「穴があったら入りたいです……」と言うのが口癖で、でもそれを言葉と発している時点で既にジルはその作りたての真新しい穴へ入り込むだけではなくや。

 一度はいれば、これが中々と出てはこないんだよね。

 

 そんな二人は当然の事ながらお父様が決めたリストの中に選ばれた友人だったりする。

 そしてお父様に許された数少ないお母様の社交兼友人の娘である。

 執着が酷いとおちおちお友達も作れない――――ってまさかの娘にまでそれが波及されるとは思わんかったわ。


 まあ元々自ら進んで社交なんてする気もなかったさかいな。

 これはこれでいいのかもしれへん。

 

 親友はこの二人でいいし、後のリストにあった友人候補は適当にうん、そこはテキトーでいいっしょ。



 何故なら十年後はこの国に私がいるかどうかなんてそれこそ分からへんしな。

 勿論親友の二人には私の計画をちゃんと説明した上で理解をして貰う心算や。

 とは言えここが何て事は幾ら何でも説明は出来ひんし、きっとした所で多分理解は出来ひんやろな。


 ただあの王太子と悪役令嬢……私を含め令嬢達にとっては王太子よりも悪役令嬢ならぬゲルラッハ公爵令嬢については要注意って事で情報を共有する必要はあると思う。


 理由は二人共辺境伯好みの可愛さを持っているんやもん。


 もしこのままゲーム通り辺境伯へ下げ渡さなければいけない贄があるのやとしたらや。

 現状このままあの二人が結婚すれば贄の予定だった元王妃はいない。

           ↓

 そこで王妃となった公爵令嬢はめっちゃ困る。

           ↓

 でも辺境伯は贄を寄越せと王妃へせっつく……やろう。

           ↓

 そうなれば王妃は新たな贄を探すしかない。


 

 まさかの王妃自身が贄になる訳もなければや。

 何度も言うが公爵令嬢は辺境伯の趣味やない。

 

 そうすれば綺麗可愛い女子ならぬ令嬢を探すしかなくなる。


 当然私はステルスを行使しまくれば確実に逃げ切るわ。

 でも残された二人が贄のリストへもし組み込まれ、最悪贄として贈られればさ、最悪やっっ。


 うん、やっぱここは二人にも情報を細目に共有しよう。

 

 そうして現時点で私は両親だけでなく友人二人追加で行く末を案じなければならなくなってしまった。



 何か昔童話で仲間がどんどん増えていく話があった様な気がするなぁ~ってまさか……ね。

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