第8話  伯爵令嬢は危機と遭遇

 ぴちょーん。


 

 冷た⁉


 何って水?


 目が覚めて一番に見たものは薄暗くて何ともめっちゃ汚い小屋やった。

 

 おまけに天井からは雨漏りまでしてるってまさかの屋根が腐っている?


 いやいや今はそんな事よりもや。

 この状況を……把握?

 せや把握せんとって言うか一体何が起きたん?


 そして間違いなくこの場所は私達が歓迎されている様な場所やないって事やんな。


 それからこれは大事な事。

 間違いなく私達三人の家やないって事つまりは――――誘拐?



 確かに誘拐してお金を儲けられるくらいの公候伯爵家の令嬢だわな。

 それぞれの家は領地経営やその他にお商売何かも上手くいっている。

 私なんかはこの国の宰相閣下の娘って肩書付き。


 しかし一体誰目的でそして何の為の誘拐なのかがわからへんな。


 それとも三人の家からお金目的?


 いやいやそれはやめた方がいいと思う。

 犯人さんの肩を持つ訳やない。


 ただな、私のお父様も結構ブラックな面を持っているけれどもや。

 

 リゼとジルのお家と言うかお母様方が怒らせると何気にヤバい。

 

 然もリゼの家族……小人族のお兄様は兎も角や。

 エマお兄様は一見人当たりの言い優しいお兄様やけれどもや。

 おば様とおじ様よりも一番怒らせるとヤバい人じゃないかなって思う。


 まあそれだけリゼを大切にって言うか、親友の私とジルの事も妹枠として大切にしてくれているやけれどな。



 ここは王子様が助けに来てくれるまで塔の上のお姫様宜しくと言った具合に大人しく待つべきなのか。

 それとも一刻も早くトンずらすべき何やろうか。


 しかし逃げるにしてもや。

 窓にはさびているけれどもそこそこの太さのある鉄格子がしっかりとついている。

 おまけに窓は私の真長よりも上にある。


 そして扉は一つ。


 木で出来ているけれどもや。

 鍵が掛けられているのと……多分見張りはいると思う。


 だって今までに読んだ小説や漫画、それからTVドラマに至るまでこういう時には必ず見張りがいるって定番やろ。


 まあそれも前世の記憶と言うか情報何やけれどもな。



 それにしても私達はさっき……って今の時間もわからなければや。

 つい今し方まで眠って、いやいや眠らされていたもんやから正確な時間が全くわからへん。


 因みにリゼとジルはまだすやすやお眠り中。

 

 でも有り難い事に私達をただの子供認定してくれたお陰で手足は縛られてはいいひん。


 勿論猿轡もなしや。


 ただし大きな声で騒いだり泣いた場合はきっと猿轡をされると思う。

 それを思えば今リゼとジルが眠っているのは有難い。

 何時もの様にギャン泣き大合奏なんてされれば直ぐ猿轡やもんな。


 とは言え私だって冷静そうに見えてると思うけれどもや。


 実はその逆!!


 はっきり言ってテンパっている。


 そして許されるなら思いっきり泣き叫びたいし暴れたい。

 

 せやろ、前世と今生を合わせてもこんな待遇に遭わされた事なんて一度もあらへんのやもん。

 ただこうして頭の中で何か考えていいひんかったら間違いなく泣いている。


 でも何で私達がここに連れて来られたのやろうか。

 抑々そもそも今日の外出だって偶然やったしそれに――――。



 


 


 

 

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ちょろインを辞退させて頂きます!! ~乙女ゲームへ転生したヒロインはモブになりたい 姫ゐな 雪乃 (Hinakiもしくは雪乃 @papiten

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