ちょろインを辞退させて頂きます!! ~乙女ゲームへ転生したヒロインはモブになりたい
姫ゐな 雪乃 (Hinakiもしくは雪乃
prologue 魔王が来りて微笑んでいた
何故?
どうしてこうなった⁉
私は一体何処で何を間違ったんや!!
いやいやいやいや私は何も間違ってはいいひん筈。
せやろ?
だってほんまに、それこそ今までめっちゃ細心の注意って言う注意を払ってよ。
石橋をこれでもかとバンバン叩きまくれば、多分あとほんの一撃を加えたら間違いなくこの石橋は倒壊するやろうって言うくらいに細心の注意と私の体内ステルスセンサーで以って、この五年もの間に展開されるだろう様々なイベントらしいもの全てを
な、なのになんで⁉
一体何がどないしてこうなったん?
「フォーゲル伯爵令嬢クリスティーネ……いや、もう私と君との仲ならばティーネでいいよね」
な、
その当然の様な愛称呼びって。
私は今心の中で盛大にセルフ……本当は目の前にいるだろう声の主へ思いっきり突っ込みを入れたい。
だが悲しいかな、今現在私の存在するだろう世界では身分の上下関係と言うものがめっちゃ厳しいのである。
だからして何があろうとも……それこそ天と地がごろんと寝転返った先に引っ繰り返ろうともである。
絶対に目の前の御方に対し文句のもの字さえも唱えてはいけないし許されはしない。
万が一唱えれでもすれば良くて叱責か罰金禁固刑。
最悪は爵位と領地没収で平民堕ち若しくは極刑……かな、ははは。
そして今現在進行形で私の目の前にはサラッサラに流れる……とは言ってもそこまで長くはない。
きっと十人中十人以上ものの乙女達は間違いなく目の前の青年へ惹かれてしまうのは、この世界の常識であり多分当然の事なのかもしれない。
まあ私だけは問題外でアウト・オブ・眼中だ。
そして目の前の青年こそはこの緑豊かで美しいリーネルト王国唯一の王子であると同時に次期国王陛下となられる予定の王太子殿下その人である。
また巷――――でなくともほんの少し耳を傾ければ誰ともなく囁いているのである。
雄と美を兼ね備えたる麗しの王太子様若しくは
ぐへ、ああもう私のお腹は一杯です。
そんな王子様は御年22歳で未だ決まったお相手はいないらしい。
でも候補となる令嬢はそれなりにはいるのだけれどね。
そして候補の令嬢達は皆我こそは――――ってな感じで新聞や雑誌等で王子様の一日……いやいや挙句の果てには立派なストーカー迄いるらしい。
はあ、超絶イケメン様ともなれば色々と大変なのですね。
だが私は断じてこの王太子様へ懸想をする何てこれっぽっちも思うどころか抑々致してはいない!!
いやいや寧ろ敬遠していると言うのか、一体どうすれば如何に
「ティーネは随分と恥ずかしがり屋さんなのだね」
「――――っっ⁉」
私の目の前にいるのは天使……それとも悪魔様なのだろうか。
多分私の視力に問題がなければ表面上は大天使か神様レベルの神々しい笑みを湛えておられるけれどもだ。
しかし何故か神レベルの王太子様の瞳の奥に、何故か一条の光さえも差し込まないくらいどろりと、何とも粘っこい粘着性のある闇が垣間見えるのは――――私だけに視える幻なの⁉
「ねぇどうしてティーネからは何も話しかけてくれないの?」
「…………っぴぃ⁉」
ゆっくりと、でも確実に魅惑の王太子殿下様は私へと歩を進めて来られ〰〰〰〰。
一方私はと言えば恐怖と、恐怖と恐怖と恐怖――――以外の感情何てここには存在しないよぉ。
それにしても何でこの場所が見つかったのぉ!!
そしてきっと今の私は目の前の王太子様を前にして令嬢らしかぬムンクの叫びの様な表情をしているに違いない。
……と言いつつ王太子様が前へと進んだ分はきっちりと、何とかギリギリの精神力で以って私は後退りをしているんだけれどね。
とん
「――――っっ⁉」
「ふふ、可愛いね。本当にティーネは可愛過ぎる。だけどもう逃がしてはあげられないよ」
「ぴぴいいぃぃぃぃぃぃぃっっ!?」
なんて事はない。
私は自分がこしらえただろうやや重量オーバーしているリュックへと躓けば、普通に態勢を崩し私の予想に反しぽすんとそのまま王太子殿下の腕の中の住人へとなってしまった。
ああこれで完全に人生を詰んでしまったと思う。
それにしてもアラサーの干物女が、なんでまたお花畑なちょろインなんかへ転生しちゃんたんだろうねぇ。
――――と言うかさ、この設定はあまりにもイタ過ぎでしょ。
ほんまヤバイって!!
でもほんと、お願いやから何卒穏便に……いやいや今直ぐ開放して下さい!!
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