第3話  伯爵令嬢は事後報告を聞く

 無事に帰宅してからあの日お父様より聞いたのはカオスと化したお茶会だったらしい。


 宰相であるお父様にまで陛下が駆け込めばや。

 

『お前でなければ止められん!! 王妃とゲルラッハ公爵令嬢を止めてくれっっ』


 そう言って泣きついてきたらしい。

 でも勿論お父様は――――。


『嫌ですよ。その様な狐と狸の……はあ、抑々そもそも貴方はこの国の国王でしょう。そしてリアは王妃。公爵令嬢とは言え相手はまだ10歳のお子様。はっきり言っての戯れへ真面目に付き合っている貴方方夫婦に対しこの国は大丈夫なのかと私は激しく不安に駆られますね』


『い、いや、その様な事を申してもだなディー、相手は色々と厄介な公爵家の令嬢。俺も普通ならば一喝で終わらせたい。だが相手はまだ10歳の少女だし……』

『その少女を選んだのは貴方の息子でしょう。そして行く行くはこの国の王妃となります。矯正するならば早い方がいいです。鉄は熱いうちに打てと申しますでしょう。令嬢と彼の家諸共……あ、令嬢は兎も角公爵家は既に冷め切っているので矯正は難しいでしょうね』


 普通に塩対応やった。

 

 でも問題はまだまだ山積で……。


『王子が、カールが揉めている王妃と令嬢の間へ割って入ればだ。更にその拗れてのう』

『チっ、糞王子がっっ』

『お、おい人の息子を今何気にを付けなかったか⁉ それにアレは普通に王子だ――――』

『貴方の聞き違いでしょうアル。とは言えカール王子が何故……』


 お父様もそれを大層訝しんだらしい。

 

 抑々王子はゲルラッハ公爵令嬢を好んではいなかったと言う。

 まあ私的にはどうでもいい情報だ。

 我が家にしてみればどの様な理由があるとは言え王太子が彼女を選んでくれた事に、諸手を上げて万歳三唱をガチでした上に思いっきり喜んだんやもん。


 はっきり言えば後は野となれ山となれ~ってな感じ。


 まあそこは国さえ傾かなければだ。


 そして国民が安心安全で暮らす事が出来れば王家の家族事情なんてこの際どうでもいい。


 ただ王妃様お一人だけは頑なにと声を大にして叫ばれているらしい。

 

 まあ何処の世界も嫁姑問題があると言う訳やね。

 それに裏を返せば喧嘩する程仲がいいって言うやん。

 何時か王妃様と王太子妃となった公爵令嬢が分かり合える日は来るかもしれない。



 そうしてお茶会は散々たる終わり方をした。

 でもそれ以降も王妃様はお茶会を催される度に令嬢を誘う事はしない。

 それなのに揉めるとわかった上で令嬢はお茶会へ乗り込んでいく。


 結果は聞くまでもない。



 ゲームの中の悪役令嬢やった令嬢のキャラはもっとクールで感情を隠していたよ……ね。


 王太子より愛されなくとも表向きは側妃然とし堂々と胸を張っていた。

 誰にも後ろ指を指されず、静かにそして虎視眈々と機会を狙い計画を粛々と実行していた筈。


 なのに今の公爵令嬢は明らかにキャラが、性格が違う。

 

 我儘放題で身分関係なく噛み付くなんてあり得ない。


 子供だから……?


 いやいや幾ら子供だからってある程度の事は理解出来るっしょ。

 幾ら権勢を誇る公爵家とは言え王族へ歯向かう等首が幾つあっても足りないやん。

 それに家族だってそこまでの我儘は許さないだろうしそれに今の王太子だって……。


 いやっいや深くは考えないでおこう。

 私は自分と私の周りにいる家族を護る事に徹しなきゃ……だ。


 相手が現時点で私をターゲットにしていないのだからこのまま少しずつ距離は広げていこう。

 うん、ゲームの中ではお花畑なヒロインやったから当然お友達はいなかった。

 せやから取り敢えず私の目標と致しましてはである。


 出来れば大人になった暁には酒飲み友達となってくれそうな子がいいな。

 

 


 

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