chapter3 伯爵令嬢は自由を満喫と共に謀は粛々と
第1話 伯爵令嬢は褌を締め直す?
「嘘……」
思わず言葉として発してしまったよ。
「ティーネ貴女本当は……」
「い、ち、違うのお母様っ、変な誤解をしないで下さい!!」
そう変な誤解をして貰っては困る。
だが少々乙女気質のお母様は訝し気な眼差しで――――娘を見つめないの。
「そう……よね、ティーネも嫌がっていたのですものね」
そうそう寧ろ私にしてみればこれはこれで有り難い。
誰が何と言おうとだ――――って、そんな度胸のある人達は先ずこの国にはいないやろうな。
王太子の正式な婚約者となった悪役令嬢もといゲルラッハ公爵令嬢はこの国でも名門のお家柄に加え父親である公爵は野心満載のありとあらゆる権力や力やまあその、力と名のつくモノをほぼほぼ手中に収めているだろう人物。
この国で平和に生きて行こうと思うならばそこは貴族や平民問わず出来得る限り公爵へ逆らってはいけない。
そう下手にゲルラッハ公爵の怒りを買えばその後色々な意味で無事ではいられないだろう。
平民……まあ下位の貴族ならば数日後には川でぷかぷか浮いているか若しくは密かに他国へ売られているやろうね。
色んな、そして絶大な権力を持っている公爵家には常に黒い噂が絶えないらしい。
また国はそんな厄介な家を何故野放しに――――?
答えは簡単で単純ではなくかなり複雑かな。
王族とも姻戚関係にあるお家だからこそ容易に捜査がし難いのと証拠となるものをほぼほぼ残さず、またモノだけでなくそれに関わっただろう人物を丸ごと処分しているらしいと言う。
おまけに妖しい呪術へ傾倒していると言う変な噂もあるしね。
実際私へも直接ではないけれども被害はあったらしい。
うんそこは私へ至るまでにお父様とあの王太子が
然も一度や二度ではなくその数は最早十本の指では数え切れないくらいだったみたい。
そしてゲルラッハ公爵家に対抗する家が王妃様のご実家であるデュンヴァルト公爵家。
つまりは先の宰相閣下その人である。
王妃様ご自身も対立する家の令嬢を嫁へと迎えたくはないとこれまでに何度も愚痴を零されていた。
でもだからと言って私を婚約者へ据えるのもなんだかな~って思うし、まあ王妃様にはほんの少しだけ可哀想だと思うけれどもこれもよ、私の身の安全の為ならば黙って受け入れちゃって下さいな。
とは言え最初からこのゲームな世界はセオリー通りに物事が進まないのがちょっと気になるところでもある。
確か悪役令嬢は将来側妃へ召し上げられても女性として一度も愛される事はなかった。
だからこそ彼女の心は何処までも拗れに拗れてしまったんやけれどね。
しかしせやからと言って側妃が王妃を辺境伯へ下げ渡すなんて絶対にないわ~。
だがそれも王太子と悪役令嬢が無事に婚約をした今となってはその未来もきっと変わりつつあるんやろうな。
いやいやここで何もかも緩んでしまってはいけない私!!
そう無事にあの二人が結婚をして仲良くなって子供が生まれればOKなのかと問われればそれは全く以ってわからない。
何故ならゲームの中の王太子はティーネが妊娠出産した頃に浮気……じゃあないな。
新たに側妃や愛妾を何人も召し上げた好色王なんやもん。
側妃でもヤバイキャラやったのにそれが王妃!!
この国の女性の中で一番力を持つ女性となればもう何をするのか想像が出来ないやんっっ。
うん、ここはこのまま私のステルスを行使したまま目立たず大人しく生きて行こう。
欲を言えばお父様とお母様にはもっと頑張って貰って私に姉弟を作って貰いたい。
そうしたらそう遠くない未来にもし私が他国へ逃げ出しても寂しくはない筈。
そうと決めたらここは
そしてこの国には褌文化は存在しない。
だから気を緩める事無く適度に緊張感を持って無事に生き残れるように努力をしよう。
でもちょっとくらいの自由は……満喫してもいいっしょ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます