第4話  転生先がおとめげーむと酷似し過ぎる世界ってアリですか⁉ Ⅱ

 数年後ヒロインが妊娠をした頃より事態は少しずつ転換していく。


 先ずお飾りだけの愛されヒロインが無事に出産をすればそこは運よく王子が誕生したのである。

 これでヒロインはお飾り王妃としての立場も盤石なものとなったのかと思えばだ。

 阿呆な国王の愛情は思った通り徐々に冷めていけば第二第三の側妃や愛妾達を次から次へと召し抱えてていく。


 ハーレムか?

 ハーレムを作りたいのか王よ!!


 おまけに事実上王妃の公務を粛々と行う悪役令嬢は何も全てを諦めてはいなかった。

 うんうんそれでこそ応援のし甲斐もあるって言うもんよね。


 あの裏切りの日よりずーっと虎視眈々に、それこそ息を潜め静かに水面下で王宮内を完全に掌握すればだ。

 お飾りだけの王妃であるヒロインは何と辺境伯へと下げ渡してしまった。


 ん?

 これってアリ?

 そんな事はOKなの⁉


 然もその辺境伯は血を好む残忍な性格だけでなく冷酷無情且つ無慈悲で何事にも……特に女性に対し何処までも貪欲な男であった。

 常に可愛らしい女を好み、領内の娘の殆どは彼が食い散らかしていたと言っても過言ではない。


 おいおいヒロイン大丈夫か。


 また王妃であったヒロインを以前より狙い澄ませばである。

 何時の日かヒロインを我が物にせんと自分勝手に誓いを立てていただろう辺境伯は王宮内の実権を握った悪役令嬢と結託すれば強引にヒロインを愛妾としてしまった。


 ひ、酷い……ヒロインめっちゃピンチじゃん。


 また夫である王は無関心を貫くと言うかである。

 彼の中で最早興味を失い用済みとなった妻である王妃へ近づこうともしないだけではなく、悪役令嬢により王宮内を掌握されているが為に奥の内情について何も気づかない。

 おまけに渡される書類をちゃんと確認する事もなく王妃を下げ渡す最終的なサインと判子を押したのは夫である王自身だからね。


 やっぱり王は阿呆や!!

 女の敵だ、敵認定!!

 愛だの恋だのって感情はやはり一時のモノでしかないのだっっ。


 ただ悪役令嬢がどの様に頑張って寵を得ようとしても王は彼女へ一切靡く事はなかった。

 悪役令嬢は力を得る事は出来たけれども彼女自身本当に欲しいと願う相手の心と身体は永遠に手に入れる事は出来なかったのである。

 彼女の目の前で何時も数多の女達と戯れる愚かな王を遠くで見つめながら彼女は孤独に死を迎えた。

 ヒロインもまた辺境伯によって身も心もボロボロにされてからの辺境伯の持つ狂喜へ晒されながら嬲り殺されてしまう。

 また愚王と他の女達は――――ってああもういいや。

 胸やけで気持ち悪い。


 そうこれは乙女ゲームとは名ばかりのかなり辛辣なバッドエンドありまくりの世界――――。



 そして私……御園 優香は前世日本で生きていた時の名前。

 今の名はフォーゲル伯爵令嬢、クリスティーネ・ハイデマリー・ティルピッツこそ何を隠そう私が何気に遊びその乙女ゲームで登場していただろう辿!!


 何でこんな悪夢の様な現実って、偶然若しくはそれとも必然なのだろうか。

 いやいや絶対に必然なんかじゃあないって言うの。

 しかしながら御園 優華であった私はあの日呆気なく死んでしまった後、あろう事かおとめげーむと酷似し過ぎる世界への転生となってしまったのである。


 うーん私的には是が非とも認めたくはないけれどもだ。

 だが見たものを信じる事を信条としていた私としてはこれは受け入れなければいけない現実……と言うものなのかもしれない。

 だからと言ってこんな現実ってめっちゃ辛くない?

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