第14話  犬猿の仲 Sideディート


 アウレリア・フロレンツィア・ホーエンローエ・リーゼンフェルト。


 このリーネルト王国の王妃であり元デュンヴァルト公爵家令嬢。

 我が愛しき妻ベティの親友であると同時に俺の永遠の


 昔から決して相容れる事の出来ない者=犬猿の仲と言ったところでしょうか。


 アレは……ええ一応彼女はこの国の王妃であると同時に親友、いえ彼とは最早腐れ縁と言う類のものですね。

 そして彼女に関して私の中での認識はで十分ですよ。

 

 特に王妃だからと言って私が彼女を敬う――――何て事はないのですから。

 おまけにそうアレのお蔭で私はベティと正式な夫婦となるまでに、予定よりも三年も遅らせる羽目になったのですからね。



 国王であるアルフォンスとは学院時代よりの腐れ縁……何て可愛らしいものではなくアルと言う男は何時も面倒で厄介な案件ばかりを私へ持ってくるのですよ。


 とは言え彼自身は一国の王子らしくそれなりに容姿や頭脳はそこそこで決して悪くもありません。

 ええ、はっきり言えばもっと精神的に自立をすればよい君主になれると思います。

 何故ならアルがリアと出逢う前までは比較的まだ真面な王子様と言うものをやっていたのですから……。



 そうアルが本格的に色々とぶっ壊れたのはリアと出逢ったのが原因でした。

 彼女の実家であるデュンヴァルト公爵家は中立派のトップの家柄でもあります。

 従って王家よりそこは普通に婚約者候補へ名を連ねてはいたのですよ。


 ただ当時候補であったリア自身が王子妃となる事を頑なに拒否していたのです。

 それ故に王宮へのお茶会や様々な催し等何もかもをすっぽかしていた事によりアルトの対面も学院へ入学して暫くしてからになったのですから……。

 

 まあその理由は単純且つ複雑なもの。


 そう彼女がこの世で最も愛しいと思った相手がアルではなかっただけ。


 とは言えそこは王族と貴族の婚姻なのです。

 愛情何て求める方が可笑しいとされるもの。

 貴族にとっての婚姻は一種の契約。

 ですが彼女は敢えてその愛情を求めたのです。


 然もその相手はアルではなく私の愛するベティへ……。


 

 その当時はまだ私もベティとは出逢っておらずと言うかです。

 基本私は興味のないものはたとえ視界に入ったとしてもです。

 全て存在しないものとなっておりました。


 学院では基本男女共学故に姦しい令嬢達を全て存在しなかったものとしていたのです。


 だからなのでしょうね。

 私は愛しいベティと出逢い共に過ごす時間が数ヶ月とは言え失ってしまったのは……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る