第10話、町に戻って

「じゃあ、町に戻るか。」


 俺と赤髪の美人、それと青髪の美少女は町に戻ることにした。青髪の美少女は当然赤髪の美人が背負っている。俺はあくまでも一般人。特殊な精液は持っていても、力等は一般人のそれだ。いくら女の子だからといっても、背負って歩けば数分でバテるだろう。とてもじゃないが町まではたどり着けない。


 ◆◇◆


 歩くこと数十分、俺達は無事元の町に戻ってくることが出来た。かなり疲れた。行きにそれなりの速度で走ったこともそうだが、何よりも射精はかなりの体力を使う。元々四発の予定が二発で済んだのは良かったのだが、二発目が大量に出たので正直疲労感はかなりある。


 町に着くやいなや、赤髪の美人は青髪の美少女を背負い、どこぞの宿屋へと入っていった。先程言っていたように青髪の美少女をベッドで休ませるのだろう。


 待つこと十数分、赤髪の美人がパタパタと走りながら戻ってきた。


「待たせたわね。」


「……あぁ。」


 まぁ何はともあれ、まずは飯だ飯。腹が減っては戦はできぬ、というしな。何か理由は分からないが、いつにも増して腹が減っている気がする。もしかしたらあの射精には、滅茶苦茶腹が減るといった代償みたいな物があるのかもしれない。


「……ねぇ。その、図々しいお願いなのは分かってるんだけど、できればあの子が目を覚ますまでそばにいてあげたいの。だからちゃんとしたお礼とかは、あの子が目を覚ましたら、とかじゃ駄目かしら……?」


 赤髪の美人がこんなことを言ってきた。まぁ俺としてもさっそと飯を食べて寝たいと思っているので、この提案には特に不満はない。


 唯一問題があるとすれば、このまま赤髪の美人が逃げるという可能性があるってことだが、まぁ多分大丈夫だろう。逃げられたら逃げられたで、特にこちらに不都合があるわけでもないしな。OPPAIを見せてもらっただけで、俺としては充分な褒美だと思っている。


「それで構わない。」


「本当!? じゃあ悪いんだけど、それでお願い! 私達はあの宿の4階角部屋に泊まってるから、何かあったら遠慮なく来て頂戴! それじゃあね!」


 赤髪の美人が宿屋に向かって走っていく。俺はそれを見送った後、寝る前に食べた串焼き屋へと行き、数本の串焼きを食べた。腹が減っているからか、さっきよりも美味く感じるな。


 串焼きを食べ終わった俺は、泊まっていた宿屋に戻り、そのまま部屋へと戻った。赤髪の美人に鍵を壊されたので鍵が閉まらないが、まぁ問題ないだろう。盗まれて困るような物はそれほどないしな。そもそもこんな簡単に壊せる鍵だったら、あってもなくても大差ないだろう。


 部屋に戻った俺はベッドに直行し、そのまま意識がなくなったかのようにして眠りについた。このまま何事もなければ、今日はよく眠れそうだ。


 ◇◆◇


 赤髪の美人と青髪の美少女を助けてから、二日程が過ぎた。その間俺は町を探索しつつ、いい感じの飲み物を探して回った。俺の精液を混ぜた回復薬的な物を売るのなら、できれば安く、かつ味の濃い飲み物がいい。精液の味をごまかせるくらい濃い味があればベストだ。


 色々と飲み物を買って試しのみしながら歩いていると、後方から見知った人物に声をかけられた。


「久しぶりね。」


 振り向くとそこには、赤髪の美人と青髪の美少女の姿があった。どうやら青髪の美少女が意識を取り戻したようだな。見た感じ元気そうな印象を受けるので、俺の精液治療は本当に上手くいったようだな。


「姉さん、この方が例の?」


「そうよ。こいつが、あんたと私を助けてくれた命の恩人。」


「あなたがそうなんですね! この度は本当に何とお礼を言ったらよいか……とにかく姉と私の命を救っていただき本当にありがとうございます!」


 青髪の美少女が俺に礼を言ってきた。青髪の美少女が赤髪の美人を姉さんと言っていたから、多分この二人は姉妹なんだな。あまり見た目は似てない気もするが。


「あー、そんなかしこまらないでくれたまえ。私は当然のことをしたまでさ!」


「ちょっとあんた! 妹と私の時とで態度が全然違うじゃない!」


 赤髪の美人が何やら文句を言っているが、やはり第一印象は肝心だからな。とりあえず爽やか系で言ってみた。


「人が泊まっている部屋の鍵を破壊し、そのまま有無を言わさず人の手を引いて全力疾走させるような無礼な女に、丁寧な対応なんか必要ない。」


「……あの時は本当に焦ってたのよ。悪かったとは思ってるわ……その、ごめんなさい……」


 少し驚いた。あの赤髪の美人がこんな素直にしおらしく謝るとは。まだ付き合いは浅いが、俺のイメージでは結構な暴力系というか、そんな感じのイメージがあるからな。まぁ多分間違ってはいないだろうが。


「……それで、俺に何か用か?」


 そのまま対応するのも何か恥ずかしいので、話を無理やり逸らす。多分お礼がどうたらって奴だとは思うが、具体的には何をしてくれるんだろうか。無難な所だと飯、可能性は限りなく低いが、身体で払うって展開もあり得るな。限りなくゼロに近いだろうが、ゼロではないはずだ。


「この前のお礼をしようと思って。今は大丈夫かしら?」


「大丈夫だ。問題ない。」


「そう、よかった! じゃあ、とりあえず食事にでも行きましょうか。この辺に美味しいお店があるの。」

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