第33話、友人一行1
その連中とは、十日程前まで共に同じ屋根の下で過ごし、その後魔王的な存在討伐のために旅立った友人達だった。
だが何かおかしい。具体的にはメンバーが足りない。確か友人の他にはビッチとごつめと大人しめの三人がいたはずだ。だが今は友人とビッチしかいない。
「何、あんたの知り合い?」
「……俺と一緒に召喚された連中だ。」
「……この方達がそうなんですね。でもすごい怪我ですよ。一体何があったんでしょうか……?」
友人とビッチはパッと見ただけでもかなり重症だ。友人は右腕がなく、その他の部位にも大きな傷が複数あるように見える。ビッチはも同じように複数箇所を怪我しているようだ。パッと見では分かり難いが、何でも喉が一番重症なようだ。周りにいる人らがこれでは声も出せないだろうと言った内容の話をしているのが聞こえる。
「……ま、まさ……よし……?」
友人は意識があるのか、俺に気付いて俺の本名を呟いた。俺の本名は、正義と書いて
「
「……ちょっ、と……ドジ、ちゃって、さ……」
俺は友人に声をかけ、どうしたのか訪ねた。本人はドジったと言っているが、どう見てもドジで負う怪我じゃあない。それにビッチ以外の仲間がいないのも気になるな。
ちなみにだが、友人の名前は
「何だい!? あんたこの人達の知り合いかい!? ならちょうどいい、この人達を近くの治療所に運ぶから、一緒に来てくれ!」
俺が友人に何があったのか考えていると、近くにいたおっさんが先程の会話から、俺と
「……という話なんだが……」
正直面倒だが、ここで断るわけにもいかない。だが俺の独断で決めるわけにもいかないので、一応俺はルビサファ姉妹にも行っていいかそれとなく聞いてみた。ルビサファ姉妹がどうしてもと言うのなら、仕方ないが断らせてもらうとしよう。
「”彼女”達はあんたの知り合いなんでしょ? じゃあ行かなきゃ駄目じゃない。あんただけじゃ心配だし、私達も一緒にいくわ。サファイア、それでいい?」
「はい、大丈夫です。私達でもできる事があるのなら、お手伝いします。」
どうやらルビサファ姉妹も一緒に来てくれるようだ。それは心強い。俺一人だと何かあった時不安だからな。
「……それにあんたなら、あのくらいの怪我だったら治せるでしょ?」
ルビーが小声でそんな事を言ってきた。まぁ可能か不可能かと言われれば可能だろうが、できれば使いたくはないな。流石に知り合い、しかも”同性”に精液をかけるような趣味、俺にはない。
ビッチは異性だが、後でキモいだの何だのって絶対言ってくるはずだ。だからできれば関わり合いになりたくはない。
まぁ最悪友人だけは治療しよう。ビッチはその時の状況次第だ。ビッチに関しては完全に赤の他人な上、特にこれと言って情もない。俺は別に慈善活動がしたいってわけではないしな。それにもしかしたら治療所とやらで治る程度の怪我かもしれんし。
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