第5話、就寝

 用が済んだらこんなところに長居は不要だ。俺は息子をしまって足早に立ち去った。


 誰にもバレていない……よな? 念の為周りを確認してから路地裏を抜け出したが、もしも誰かにさっきの現場を見られていたらどうしよう。男性器を出した男が女性に射精するという現場。人命救助という大義名分があるとは言え、一般的にには決して好ましい方法ではない。追求されようものなら言い逃れできないかもしれない。


 まぁでもパッと見誰もいなかったし、多分大丈夫だろう。あの路地裏はそもそも人通り自体少ないようだし。俺は基本的に楽観的なんだ。大体の事は適当にしてても何とかなるし、何とかならない状況になったら諦める。それが俺の生き方さ。


 さーて、射精したら腹も減ったし、飯でも食って宿屋に戻ろうか。明日からはまた色々と実験しつつ、商売の方法でも考えよう。丁度あそこに串焼き屋があるし、あそこでいいかな。精力を付けないといかんからな。


 ◆◇◆


 飯食って宿屋に戻ってきた。木製の机や椅子、そこまででもないベッド、その他。最低限の部屋って感じの部屋だ。まぁ今は基本寝て考えるだけだから、別に問題はない。明日以降、金を稼いでもっと高い部屋に泊まればいい。


 串焼きは結構美味かった。何の肉かは知らないが。我ながらあのような一般ではまずお目にかからない現場を目撃しておいて、よく肉なんか食べられたようなとは思う。やはり射精後の賢者タイムは偉大だ。一旦思考をリセットできて、物事を冷静に考えれるようになるからな。射精してなかったら今日は食欲も湧かなかったことだろう。


 ふぅー、飯も食ったし射精もした。後は寝るだけだな。まだ寝るには大分早い気もするが、まぁいいだろう。早く寝たらその分早く起きればいいのだ。


 ベッドに寝転んで今日の事を思い返す。まずは町に辿り着く前に遭遇したモンスター。あれはヤバい。見た目は俺より大分低めな身長で人型のゴブリンみたいな感じだったが、俺みたいな戦闘能力のない一般人では、まず太刀打ちできない。なんか薄汚れた見た目の悪い棍棒みたいなの持ってたし。殴り合いになったら一方的にボコられてお終いだろう。


 だが今後もし、この町から出るなんて事になった場合、俺一人だとあれは無理だな。他のファンタジー世界よろしく、ゴブリンはこの世界でも最弱な部類に入るらしい。何らかの武器が少しでも使える大人くらいだったら、1対1なら一応勝てる程度の強さらしいが、武器なんか使ったことないしな。覚える気もないし。


 となると仲間とかが必要になってくるわけだが。俺みたいなのについてきてくれる人は中々いないだろう。そうなってくるとアレだ。定番の奴隷を買って~ってやつ。アレをやろう。そもそもこの世界に奴隷なんているのか知らないが。明日もう少し隈なく町を見て回ろうか。


 そしてあの左腕欠損してた赤髪の美人さん。あの人は本当に美人だった。どうせ仲間にするならあんな美人がいいな。そしてあわよくば……ゲヘヘ。まぁまず無理だろうけどな。


 そういえばあの人は結局どうなったんだろうか。今頃は意識を取り戻して、自分の左腕がいつの間にか再生している事に驚いているかもしれないな。そして誰がやったか探してて俺と遭遇する、みたいな展開。そしてお礼に一発……そんな展開あったらいいなぁ。


 そんな事考えていたら息子が膨らんできた。いかんいかん、何とかして抜かずに鎮めねば。明日以降はもっと酷使することになるんだから、今ここで抜くわけにはいかない。平常心、平常心を取り戻すんだ俺、嫌な事を思い出せ……


 ……息子も鎮まったし、いい感じに眠気もきた。明日以降は今日よりも忙しくなるだろうが、頑張ろう。

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