第36話、何が起きたのか1

「まぁいいわ。あの二人が目覚めたみたいだし、さっさと行きましょ。」


 俺とルビサファ姉妹、それから治療所の人で、二人の居る治療所へと歩み始めた。そして歩く事十数分、目的地の治療所へと到着した。


 そしてそのまま真珠しずく達の居る部屋へと足を運ぶ。そこでは存外元気そうな姿の真珠しずくと、明らかに元気のないビッチの姿があった。


「……正義まさよし。久しぶりだね。と言っても、別れてから二週間しか経ってないけどね。」


「あぁ。」


 そう、真珠しずく達と別れてから、実はまだ二週間程度しか経過していないのだ。雌のオーク事件やゾンビ事件等があったから結構な時間が経っているようにも感じるか、実はまだそんなに経っていない。こちらの世界に召喚されてから城で過ごした時間を含めても、まだ二ヶ月程度だ。


「でも驚いたよ。まさか正義まさよしとこんな場所で会えるなんて。てっきりまだあの町にいると思ってたからね。」


「俺もその予定だったんだが、色々あってな。あの町にいられなくなった。」


「へぇ、そうなんだ。その話も気になるから是非聞きたいんだけど……それよりもそちらの二人は?」


「この二人は俺が今一緒に行動している、ルビーとサファイアだ。ちょっと色々あってな。この町へも二人と一緒に来たんだ。」


「……へぇ、そうなんだ……正義まさよしのお仲間さんなら、私も自己紹介しないといけないよね。私は正義まさよしの数年来の友人で、真珠しずくって言います。よろしくね。」


「こいつがさっき言ったけど、私はルビー。で、こっちの子は私の妹のサファイアよ。」


「サファイアと申します。よろしくお願いします。」


「あぁ、よろしく。」


 何か思っていたよりも元気そうだな。もっと落ち込んだりしているのかと思っていた。まぁビッチの方は全然元気そうではないが。十日程前だったら俺に突っかかって来てたのだが、やはり喉をやられたのがショックなんだろうな。


「まぁ、思ったよりも元気そうで安心したよ。もっと落ち込んでいると思っていた。」


「……うん。こんな身体になっちゃったけど、落ち込んでもいられないからね。」


 そう言って、真珠しずくがなくなった自分の右腕を見た。やはりと言うか何と言うか、右腕がなくなったのは流石にショックだろうな。真珠しずくとは中学以来の友人で、それなりに仲はいい。少なくとも俺はそう思っている。だからできれば治してやりたいが、ここでは多分無理だろうな。目立ちすぎる。


 ……目覚めたばかりの真珠しずく達にこんな事を聞くのも何だが、やはり俺が聞くしかないよな。


「……真珠しずく。目覚めたばかりのお前にこんな事を聞くのもアレなんだが……その、他の二人はどうしたんだ? ゴツい男と大人しめの女。というよりも、そもそもお前達に一体何があったんだ?」


「……もしかしたら正義まさよし達にも関係してくる、というより関係するだろうからね。教えるよ。」


「……」


「まずあの二人だけど……死んだよ。二人共ね。」

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