第43話、どうしてこうなったんだろうな
まずは俺の
……とは言ったものの、あいつの居場所なんて知らないしな。あっちから攻めてこない限り、正直どうしようもない。まぁ
とりあえず今日は今の俺がどれくらい強くなったのか、それは調べないといけない。俺の勘違いでなければ、おそらく数段階は力が増している、ような気がする。まぁ試してみないと分からない。
「じゃあそろそろ行くか。」
「うん。今着替えるね。」
「あっ、姉さん。ザーメンさん達が出てきましたよ。」
「……遅かったわね。」
二人と待ち合わせをしていた記憶はないのだが、俺達に何か用でもあるのだろうか。
「何か用か?」
「……何か用かって……これからの事ととか相談しないといけないでしょ。」
あぁ、あのクソ野郎の話か。そういえば昨日は
「で、そっちの人は治ったの? ……ってまぁ、”あの様子”だったら聞くまでもないわね。」
「うん。おかげさまで、この通り。ほら、ちゃーんと治ってるよ。」
「……それはよかったわね。」
なんか知らんが、ルビーの様子が若干おかしいな。いつもよりツンツンしていると言うか。機嫌が悪そうだ。
「なぁ、ルビー。さっきからやけに機嫌が悪そうだが、何かあったのか? もし俺が何かしたのなら謝るが……」
「……」
「……えーっと、ですね……その、実はあの後、二人がなかなか帰って来なかったので、私達様子を見に行ったんですよ。そうしたら、その……ふ、二人が……///」
……なるほどな、大体読めてきたぞ。ルビサファ姉妹はあの後俺らを心配して、俺が泊まっている宿まで足を運んだ。そして俺の部屋の前まで来た所で、俺と
……終わったな、これは。弁解の余地がない。直接は見られていないだろうが、多分声が扉の前まで漏れていたか……いや、ルビサファ姉妹の耳なら扉の外でも十分声は聞こえるはずだろう。そしてそれを聞いたルビサファ姉妹は、俺達が何をしていたのか理解し、そのまま帰ったと。そういうわけだよな?
なるほどなるほど。ルビーの機嫌が悪い理由もそれなら納得が行く。そりゃあな。中々戻ってこない仲間を心配して訪ねたら、当の本人は女とヤッてました。なーんて事になってたらそりゃムカつくよな。同じ状況に遭遇したら、まず間違いなく俺もムカつくはずだ。
「それは、何と言うか……その、すまなかったな……」
「……いえ、私達が勝手にした事ですし、その、ザーメンさん達は気にしないでください。」
き、気まずい……なんて気まずいんだ……風呂に入ろうとした時、母親の着替えを思わず見てしまった時くらい気まずいぞ……いや、それ以上に気まずいかもしれん……
「……ねぇ、
「……」
「……?」
ルビーが俺の名前を呼んだ。偽名じゃなく、本名の方で。まぁそれは別に構わんのだが、問題はその発言を聞いた時の
「あんた本当は、ザーメンって名前じゃなくてマサヨシって言うのよね。じゃあこれから私もそう呼ぶわ。いいわよね、マサヨシ?」
「え? いやまぁ、別に、好きに呼んでくれていいぞ。」
「駄目だよ。」
「……
「
そう言うと
「っ……ねぇ、あんた、こいつの何なの? ただの友達って話じゃなかった? じゃあ別に私がなんて呼ぼうが勝手でしょ? そもそも呼び方なんて本人が嫌じゃなければなんて呼んでもいいんじゃないの?」
「君は昨日部屋の前で何を聞いてたのかな? ただの友達があんな事するわけだいろ? 僕と
「……確かにあんたの方がそいつよりも長い付き合いかもだし、最初に、その……えっち……な事したのかもしれないわ。でも知ってる? そいつ、あんたよりも先に私の胸を揉んだのよ? しかも「美しい……」なんて感動までしてたわ。あんたは……あっ、ごめんなさーい、そんな小さな胸じゃ揉んだりなんてできないわよね? 私ったら、うっかりしてたわ。」
「……ねぇ
こわいこわいこわいこわいこわい! え? 何でこの二人こんなヒートアップしてるんだ? 訳が分からん! しかも
「……ま、待ってくれ、
俺はそう言うとルビーの方をチラッと見て、これ以上事を荒立てないように必死のサインを送った。するとルビーは俺の視線に気付いたのか、軽く微笑み返してくれた。よかった、どうやら伝わったようだな。
「……ひどい、ひどいわ! マサヨシ! あの時はあんなにも激しく私の胸を揉んだじゃない! 今でもはっきり覚えているわ! あの激しくも、でも乱暴じゃない、激しさの中に時折見せた優しさ! あれを揉みたくて揉んだわけじゃない、仕方なかったから揉んだって言うの!? 私、男の人に胸を揉まれるなんて、初めてだったのに! 初めてだったのに!!」
「……
ルビー、貴様ァ! 謀ったな!? 今までそんな態度、一度たりとも見せた事がないだろ!? 何で今に限ってそんな浮気相手の女みたいな言動するんだ!!
「ちょっと待て、
「……
「!? じゃあ……」
「でもね、分かるんだ。分かるんだよ、同じ女として。彼女は……いや、ここは僕の口から言うことじゃないね。彼女は確かに一部分だけは大げさに言っているかもしれない。でも、同時にそれは、その部分以外は本当って事だよね?
「……俺が……彼女の、お、胸を揉んで、また……美しいと言った事……それは……じ、事実、です。」
ヤバい、泣きそうだよ……恐怖でな。
おかしいな、何で、何でこんな事になってしまったんだろうな……朝起きた時はさ、童貞を捨てた事による無敵感、万能感とでも言えばいいんだろうか。そんな気になってイキって、キザなセリフなんか言ってみたりもしたよ。そして俺の
……確かに俺は強くなった。まだ試してないから分からんが、確実に昨日よりも強くなっているはずだ。何故だか分からんが、それだけははっきりと分かる。
でも俺が得た強さなんてのは、こういう状況になった時なんの役にも立たない、その程度の強さなんだなって……そう……気付いてしまったんだ。誰でもいいから俺を助けてくれ……
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