第14話、上目遣い

「あっ、料理が来たわね。さぁ、食べましょう!」


 旨そうな料理が運ばれてきたので、それを食べる俺達。これは旨い。オシャレな見た目とは裏腹に、普通にガッツリ肉料理とかもあった。やはり肉だな、肉。あの串焼きやその周辺の店の料理も旨いが、正直こっちの方が料理を食べてるって気になれる。


 食べ進めること小一時間、全ての料理を食べ終わった。食後のデザートも当然堪能した。見たことのない、フルーツのような食べ物だったな。全部の料理が中々に旨かった。ルビーに感謝だな。


「ふー、食べた食べた。やっぱりここの料理は最高ね。少し値が張るから今の稼ぎじゃ、そんなに食べられないのが残念だわ。」


「あぁ、確かに旨かった。」


「気に入ってもらえたようで何よりだわ。さぁ、あまり長居するのも申し訳ないし、そろそろ出ましょうか。」


 会計はルビー達に任せ、俺は店を出た。やはり旨い飯を食べるのは素晴らしいな。何かこう、頑張ろう! って気持ちになる。後ムラムラする。


 そういえば俺、あいつのOPPAI見たんだよな。初めて生で見たOPPAI。今でも鮮明に思い出せる。できることなら触ってみたかったな。というよりも本来なら三回目の射精前に、あのOPPAIを触る権利を要求する予定だった。しかし何故か二回目の射精で半端ない量がでてしまったせいで、残念ながら触ることができなくなってしまった。今思い出しても悔しいな……


「待たせたわね。」


 OPPAIについて考えていたら、会計を終えたルビーとサファイアが店から出てきた。彼女達ともここでお別れか。名残惜しいと言えば名残惜しいが、輩に絡まれるよりはマシだろう。


「……ねぇ、あんたはこれからどうするの?」


「いや、特には決めてないな。とりあえず適当に商売でも始めようかと考えてはいるが、まだ準備が何もできていない状態だ。」


「そうなのね。……その、もしよかったらなんだけど、私達と一緒に行動するとか……どうかしら!?」


 何かルビーが変な事を言いだしたぞ。一緒に行動する? 俺が? 彼女達と? HAHAHA。冗談も休み休み言ってくれよ。そんな事したら、町中の男たちに嫉妬からのリンチされてしまうじゃないか。


「……自慢じゃないが、俺は戦いなんてからっきしだ。お前たちみたいに冒険者なって、モンスターと戦ったりするなんてとてもじゃなができない。だからその、ありがたいけどその申し入れは断るよ。」


「……」


 それっぽい理由を言って断ってみる。ルビーが、うつむきがちにこちらを見ている気がする。ちょっと、その上目遣いやめなさい。可愛いから。


「あのー、ちょっとよろしいですか?」


 俺がルビーの上目遣いに心を奪われていると、今度はサファイアが何か言いたげな感じで俺に話しかけてきた。何を言われようが、俺の決心が揺らぐ事はないがな!


「何だ?」


「冒険者って言っても、色々な方がいらっしゃるんですよね。もちろん、モンスターと戦った方が稼ぎはいいので、みなさん基本的にはモンスター討伐を生業とする方が多いです。」


「……」


「でも、人助けや採取で生計を立てている人も一定数います。それに戦闘力能力は低いけれどサポートなら得意という方もいます。回復職の方や、アイテムを専門に扱う方等です。それにアイテムを生成できる、いわゆる錬金術師と呼ばれる方々の中にも、冒険者として活動されている方は大勢います。」


「……」


「それに商売をするとしても、冒険者の資格を取っておいて損はありません。基本は商人として活動しているけど、冒険者としても時々活動する方は珍しくありません。それに冒険者としてそれなりの立場まで行くと、色々な特典も付与されます。」


「……」


「なのでザーメンさんも、冒険者の資格を取る事自体は、決して損にはならないと思います。ですからどうでしょう。 せめて冒険者の資格を取るくらいまでは、ご一緒させていただけないでしょうか?」


 あー、駄目だこれ。駄目なやつだ。断ったらいけない奴だ。話を聞くべきじゃなかったパターンの奴だ。ここまで言われて断れる程、俺は人間ができていない。ルビーの件もそうだったが、俺は結構押しに弱いんだ。しかもサファイアまで上目遣いときたもんだ。しかも両手をがっしり握るおまけ付き。これは……うん、これは無理。


「……そういうことなら、一応冒険者になる手続きくらいはやるよ。」


「!!」


「本当ですか! じゃあ早速ですけど、パパッと済ませてしまいましょう!」


「だがまだ仲間になるとは言ってないからな。あくまでも冒険者の手続きをするだけだ。」


「分かっています。冒険者になる手続きだけ、ですよね!」


 そう、仕方がないから冒険者になる手続きはやる。だが仲間になるとは言っていない。俺は心躍る冒険の日々(生死のかかった冒険)なんて送る気はサラサラない。あいつらが魔王的存在を倒すまでの間、あくまでも平和に、楽しく暮らすと心に決めているんだ。


「……手続きをしてしまったら、私達の仲間になるしか選択肢がないのですけどね。」


「何か言ったか?」


「いえ、何も言っていませんよ?」


 今サファイアがボソッと呟いた気がするのだが、上手く聞き取れなかった。何か嫌な予感がするな。俺の第六感がそう告げている。だが右腕をガッチリとサファイアに掴まれているので、逃げるに逃げられない。まぁ冒険者登録するだけなので、多分大丈夫だろう。そう、多分大丈夫……

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