第31話、アイアンへ昇格

「分かった。一時間後にまたここに集合だな。」


 俺とルビサファ姉妹は、それぞれ宿を取るべく別れて行動する事になった。居週間の間一緒に行動していたので、同じ宿を取ればいいじゃないかと思わなくもないが、ルビサファ姉妹は俺よりもワンランク程上の宿を取るようだ。なので一時間後まで別れて行動する事になった。俺に関しては固い地面じゃなければいいので、とりあえず一番安い宿に泊まる事にした。


 その後宿でボーッとしてたら約束の時間が近づいて来たので、先程ルビサファ姉妹と別れた場所へと行くことにした。


 俺が着いた時には既にルビサファ姉妹がいたので、そのまま町のギルドで倒したモンスターの一部を売る等して多少の金銭を得た。


 ちなみにだがこの世界にも異世界の定番アイテムである、たくさんのアイテムが入る袋的なのがある。ただルビサファ姉妹は一番容量が小さい奴しか持っていないらしく、道中で倒したモンスターのほとんどはそのままになっている。当然だが俺は持っていない。


 換金後は、これからどうするか話し合うべく、適当な飯屋で飯を食べながらちょっとした会議をする流れとなった。


「とりあえず明日辺り、あんたの区分をアイアンに上げればいいんじゃない? ゴブリン五体を半日で、くらいなら何とかなるでしょ。」


「そうですね。まだウルフの対処は難しいようですが、今のザーメンさんならアリアンへの昇格試験くらいは何とかなると思います。」


 アイアンの昇格試験か。んー、正直やらないでいいならやりたくはないんだよな。今は大分疲れているしな。一晩程度で一週間の疲れが抜けるとは思わんし。というよりせっかく町に着いたのだから、もっとダラダラしていたい。


「……疲れているから、また今度にしないか?」


「あんたが休みたいなら別に無理にとは言わないけど、感覚が鈍らない内にさっさとやっておいた方がいいとは思うわよ。今のあんたは調子いいみたいだし。」


 ……なるほど、確かに百里ある。今の俺は調子がいい。この調子がいつまで続くか分からないが、町でダラダラ過ごしていたら一気に元の俺に戻るだろう。なら調子がいい内に、さっさと面倒な事は終わらせるがいいのかもしれない。


「……わかった。なら明日アイアンの昇格試験を受けるとするか。」


 ◆◇◆


「アーーーーイッ!!」


 俺は奇声をあげつつも、なんとか五体目のゴブリンを倒すことに成功した。だが思っていた以上の疲労感が俺を襲い、五体目を倒して数分間は立ち上がる事すらできない程に疲れていた。


 ゴブリン自体はすぐに見つけられたのだが、そのほとんどがスリーマンセル以上で行動していた。安全性を考慮してなるべく一体、もしくは二体で行動しているはぐれものを探して戦ったため、時間もかかったし何よりかなり動く事になってしまった。


 だが何とか半日以内にゴブリン五体を倒す事ができた。無事にアイアンへの昇格条件はクリアした。後はギルドに行って証明するだけだ。


 試験を受ける際、ゴブリンが丁度丸々五体分入る不思議な袋を借り受けたので、これに五体の死体を詰めてギルドに持っていけば試験終了となる。


 これで俺も冒険者の区分アイアンか。一週間前冒険者になった時はそんなのできるわけがないと思っていたが、案外何とかなるものだな。後はこのままブロンズに区分を上げれば、俺は晴れて自由の身だ。当初の予定通り、自分の精液を溶かした飲み物を売って荒稼ぎしてやろう。


 やはり一週間の旅での経験と、後はルビーのOPPAIを揉んだことで調子がいい日が続いたのがよかったのだろう。あのまま前の町に居た状態だったら、おそらくまだゴブリン一体でひぃひぃ言っていたはずだ。


「そろそろ行くか。」


 俺は気合を入れて立ち上がった後、最後のゴブリンを不思議な袋に詰めた。そしてそのままギルドへ向かい、ギルドの職員にゴブリンの死体が詰まった不思議な袋を渡した。


 そして待つ事十数分、俺が不正なくアイアンの昇格試験を達成した事が確認できたようで、晴れてホワイトからアイアンへ区分を上げる事ができた。

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