第40話、数年越しの真実

「じゃ、さっそく行こっか。」


 真珠しずくがそう言って立ち上がったので、俺は小走りに駆け寄って肩を貸した。一応ルビサファ姉妹にも声をかけたが、俺達の邪魔はできないと言った謎の理由で断られた。なので、俺は真珠しずくと二人で俺の泊まっている宿へと歩み始めた。


 当然だがビッチはそのまま放置だ。これからやろうとしている事を知ったら、絶対に暴れだす。いくら魔法が使えず、さらに怪我をしているとは言っても、多分俺よりは強いだろう。無駄に怪我を負ったりはしたくはない。


正義まさよしと、こうして二人で歩くのは久しぶりだね。」


「ん? あぁ、こっちに召喚されて以来だから、大体二ヶ月ぶりくらいか。」


「そうだね。中学生の時に出会って以来、初めてじゃないかな。夏休みとかも結構頻繁に会ってたからね。」


「まぁ、そうだな。」


 そんな感じの雑談をしながら歩くとこ数十分、俺の泊まっている宿へ到着した。流石に人一人に肩を貸した状態で歩くのは、結構疲れるな。


 宿へ入ったてそのまま階段を上り、俺の泊まっている部屋に入る。そして真珠しずくをベッドに座らせて、少しの間を置いてから俺は自分の能力についての説明を始めた。


真珠しずく、実は俺、お前に隠していた事があったんだ。」


「隠していた事?」


「あぁ、俺はお前達の召喚に巻き込まれた形で、この世界にやって来たよな。だから当然何の能力もない、ただの一般人だった。でもある日、俺は自分が少し特別な能力を持ってるって事に気が付いたんだ。」


「……続けて。」


「俺の能力は、なくなった四肢等も復活させる事ができるっていう回復能力なんだ。ルビサファ姉妹、彼女達も実は相当な重症を負っていてな。妹のサファイアに関しては、正直今のお前より重い怪我だった。でも俺の能力で回復させる事ができたんだ。」


「って言うことは、僕のこの腕も治せる、って事だよね?」


「あぁ、まぁ何日か経った状態でも回復できるかは試していないから、絶対とは言えない。ただまぁ、多分大丈夫だと思う。」


「流石正義まさよしだね。そんなすごい能力を持っているだなんて。」


 こいつは昔から、俺の言う事は何でも信じる癖がある。自分で言うのも何だが、こんな嘘みたいな話をすぐ信じるのはどうなんだろうか。こいつはもう少し他人を疑う事を覚えた方がいいと思う。


「……ただ、この能力はちょっと問題があってな。見栄えが悪いと言うか何と言うか。俺の能力を発動させるには、回復させたい場所に……俺の精液を当てないといけないんだ。だからその……」


「いいよ。」


「お前がどうしても嫌だって言うんなら……え?」


「いいよ。正義まさよしの精液を当てるんだよね? それで怪我が治るんなら是非やってほしい。」


 即答、即答か~……何でこいつはこんなにも迷いがないんだ? 普通嫌だろ。仮に怪我が治る可能性があったとしても、他人の精液を身体にかけるなんて。俺だったら絶対悩むぞ。仮に友人の言うことだとしても。


「いや、でも治るかどうかは分からないんだぞ? それに他人の精液を自分の身体に当てるなんて気持ち悪いだろ?」


「大丈夫だよ。他の人からこんな事言われたら、例えこの怪我が治るとしても断るよ。でも今回は正義まさよしの精液でしょ? だったら大丈夫。僕は正義まさよしを信じてるから。」


「……分かった。だが流石の俺でも、友人に自分の息子を見られるのは恥ずかしい。だから俺がいいと言うまで目をつぶって……おい、別に今回は服を脱ぐ必要はないぞ。」


 真珠しずくがいきなり俺の目の前で服を脱ぎ始めた。今回は腕だけの予定だから、別に服を脱ぐ必要なんかない。


「せっかくだから、この胸の傷とか背中の傷とかも治してもらおうかなって思ってさ。」


「いや、だからってお前な。いくら同性の前とは言えいきなり上半身裸になるのは……」


 俺は真珠しずくと数年程の付き合いがあるが、こいつの裸を見るのは始めてだ。今まで海等にも行った事はあるが、こいつはいつも上にシャツを着ていた。だから今まで気が付かなかった。


 服の上からではまるで気が付かなかったが、こうして裸を直接見れば分かる。ほとんどないと言っても問題ない、だがほんの僅かではあるが確かにある胸の膨らみ。思わず吸いたい衝動に駆られそうになる、あの美しい乳首、そして乳輪。


真珠しずく……お前……女、だったのか……」

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