概要
いつ始まったのかも曖昧な長引く戦争の中で、生き残れる“人間”も限られ・・・それでも戦争は終わらない。
「俺は何のために戦っているのか?」
滅びゆく世界で、主人公はうまれて初めてダレかに問いかけた。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!荒廃した世界で生きる彼らが求める答えとは
『人間は常に迷っている。
迷っている間は常に何かを求めている。』
これはゲーテの残した言葉の一つである。
なぜこれを挙げたかというと、この小説にはまさにこの言葉がぴったりと当てはまるからだ。
核兵器で荒廃した世界で生きるジョゼフ。人間兵器として彷徨うマリー。病弱な体に苦悩しながら生きる兵士アレン。
彼らはそれぞれ目的を探し物語の中で成長していく。
絶望的な世界の中で彼らは悩み、葛藤し、それでも前に進んでゆく。
当たり前のように整った環境に住まう我々現代人に生きることの残酷さをこの小説はナイフのように突きつけてくる。
生々しいほど生に執着するアレンと死を渇望するジョゼフ。
この小説に出てくる登…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ぶっ飛んだキャラとシリアスな内容が魅力‼️
最初はシリアスです。
でも、途中からキャラの内面が深く書かれていて、メインキャラのぶっ飛んだ性格に驚かせられるでしょう。
繰り返します。基本はシリアスです。ですがコメディな部分もあります。
メインキャラ達がみんなぶっ飛んだ性格をしている。
そこがまた魅力の一つでもある作品です。
これは未来の物語。大戦が起こり、生き残った人々はそれぞれコミュニティを作り。他のコミュニティと協力……連絡を持つ手段を持たなかった。
世界を……世界の有り様を変えるべく、未来へと希望を持ち進んで行く主役のジョゼフくん。そして、友人達。
この物語にキャラ達に幸あれと願いたくなる作品です。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!つくられた運命に彼はなにを思うのか。
荒廃した世界、というのは簡単にみえて書くのは難しいと思う。
どうしても既存の作品の世界観に酔ってしまうし、
半端な処理をすると剣と魔法が近代兵器に置き変わっただけの、
なんちゃってファンタジーができるから。
本作はこの終わりつつある世界での人間の心理をついた記載や細かな動機、
また事件の背景の描写など細部にわたって配慮された構成をしている。
誰もが持ってる何らかのコンプレックス、
それがほどよくデフォルメされ、登場人物に深みを与えています。
重い世界観や、無造作な人の死の表現が苦手な人には、
厳しいかもしれないけど、世紀末大好きな人には、絶対お勧めです。 - ★★★ Excellent!!!剥き出しの言葉によるSF
番外編を除いたレビューになります。核戦争の中で生物兵器として造られ、仕立て上げられた者を中心に回るストーリーで若干、センシティブな描写もあります。良く言えば飾りのない、悪く言えば配慮のない文章が会話文にも及び、殺伐とした雰囲気を醸し出しています。時折、言葉に殴られるような感覚があるのも表現としては有りかと。重い題材を扱っているので、この先どう捌くのか気になりますが、生や幸福に触れる部分も出てきています。私はこの作品に、「黒い絵の具を押し付けられ、引き摺るように何かを描かれる砂を被ったキャンバス」といったイメージを抱いていますが、皆さんは如何でしょうか。ご一読を。
- ★★★ Excellent!!!重い題材だがとても引き込まれます
核戦争によって多くの場所が無くなった世界で
人々は隠れながら生きていた。
この時代、安地求めて争いが起こっていた。
人が住める貴重な場所の一つ、ゴルバチョフ周辺のナディエージダで
主人公ジョセフは遺伝子操作と人工受精により産まれ、核の研究所ゴルバチョフ研究所で実験をされながら成長していく。
外の見回りを頼まれ何十年ぶりに外出した際、ジョセフは襲われる。
しかしジョセフの身体は直ぐに再生する。
実験により簡単には死ねない身体になっているからだ。
つまり死ぬ事が許されない存在。
しかしその時、ジョセフはぽろりと本音を言った。
『死んでもよかった』と
でも自分が死ねば、ナディエージダは襲わ…続きを読む