第14話 トレーニング①

「おはようございます、リーナさん」

「ああ、おはよう蓮くん。蓮くんの服のサイズが大丈夫か確かめたいからここにあるやつ全部に着替えてくれ。靴もあるから履きやすいやつを1つに絞っといてくれ。それを2つ渡すから」

そこにあったのは練習ジャージ上下、長袖版、半袖版。ユニフォーム各種、ウィンドブレーカー、靴下、スパイクと必要なものがほとんど揃っていた。

「全部にレヴェルのロゴが入ってる……」

「そりゃあ、うちのチームの選手が使っているものにレヴェルのロゴがなかったら不自然だろ?さすがスパイクは良い所のやつだから、ロゴが入ってないがね」

「レヴェルがスパイクにまで手を出し始めたら普通に怖いですよ。ユニゾンでさえ手を出してないのに」

「それもそうだな、サイズは大丈夫そうか?」

「はい。あと、スパイクはこれで」

「よし、了解した。じゃあ、顔合わせとか色々あるだろうからロッカールームに行ってくれ。監督とメンバーが集まって来るから」

「了解です」

「まぁ、自己紹介頑張れよ?」

「どこぞの誰かみたいなキョドりまくる自己紹介はしませんよ」

「いや、おかしな事ばかり言って自爆しないようにと言いたかったんだが」

「まぁ、大丈夫です。服ありがとうございますね」

「ああ、君にスポンサーが付くまでは色々と頑張れ」

「スポンサー……俺プロのサッカー選手になったんですね…」

「今度預金中帳でも見てみるといい、すごく実感が湧くぞ」

「20億入ってるんですかね……俺その数字見たら発狂しますよ…」

「高2が20億も手に入れたら発狂しちゃうよな…まぁ、パパもそんな感じだったらしいから安心して発狂していいぞ。家でだけどな」

「銀行で発狂は流石にしませんよ。せめてスキップするぐらいです」

「それでも十分不審者なんだが」

「気を付けます」

「ああ、気をつけろ。じゃあまた今度な。練習頑張れよ」

「リーナさんもお仕事頑張ってくださいね」

「ああ」

俺はリーナさんと別れた後ロッカールームへと向かう。

ヤバイ、自己紹介ヤバイ。だってナルダ以外の人全員年上なんですよ?本当に緊張する……

「監督、こんにちは」

「よし、蓮も来たな。お前ら、集まれ」

「「ウッス」」

「じゃあ、新規加入の選手紹介を最初にするぞ。みんなが映像を見てびびってた蓮だ。これから得点の要として使っていくからよろしく頼む」

「赤井蓮といいます。背番号は10、ポジションはセンターフォワード(CF)です。これからよろしくお願いします」

「よし、じゃあ今日の練習内容を発表するぞ。蓮は上に記者がたくさん来てるからトレーニングルームでスタミナアップを中心に頼む。他のメンバーは上でパス練から一通りの戦術を叩き込んでやるからついてこい」

「「ウッス」」

「了解です」

そして監督と選手は上へと続く階段へ上がっていった

「あれ…俺は……」

「おい、君が赤井蓮であってるのか?」

「えっと…合ってますけど……」

一人残されてどうしようかと思っていたら急にチームユニフォームを着たスタッフの人が話しかけてきた。

「おお、なら良かった。君のトレーニングをサポートする堺って言う。よろしく頼む」

「堺?日本人の方ですか?」

「ああ、親父が日本人でな……というか話してるの日本語だぞ?」

「ああ、いや俺に気を使ってくれたのかなと」

「そういうことか……まぁ、俺はどっちも日常的に使えるから赤井が使いやすい方でいいぞ」

「じゃあ、日本語でよろしくお願いします」

「おお、気軽に堺さんって呼んでくれ。絶対歳上だしな」

「了解です。おれは何をすればいいですか?」

「ああ、まずはマラソンを1時間だな」

「1時間……」

「マシーンに飛ばされないようにしろよ?」

「分かりました。頑張ります」

「そのいきだ。最後に少しコートに行って戦術を確かめるぐらいだからボールはそれまで待っとけよ」

「大丈夫です。俺もそこまでサッカー人間じゃありませんよ」

「そうか……ならまずはマラソン頑張れ」

「はい」

そこから1時間後……長い時間を走った蓮はペンチプレスなど基本的なフィジカルのトレーニングからボールの上に乗ってバランス感覚のトレーニングと様々なトレーニングをしていた。

「はぁ、はぁ……死ぬ、これはやばい……」

「んぁ?こんぐらいで虫の息か?それでもサッカー選手かよ」

「これでも初日なんですけどね?はぁはぁ…」

「体力がなければ90分間なんて到底走っていられないぞ?明日は1時間2セットだからな」

「はぁ、堺てめぇ……」

「お?コーチを呼び捨てか?」

「すいません……疲れ過ぎてさん付け出来ませんでした。」

「そうか、じゃあ見逃してやるよ。5分休んだら上がって来い戦術練習だ」

「はぁ……了解」

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