第19話スペインリーグ第一節後半
「はぁはぁ……やっぱり動きっぱなしはきついな…」
「ずっと前線でプレスかけてたもんな、蓮は」
「パブロは疲れてないのか?」
「俺は体力あるからな、前半だけだったらそこまで響かねぇよ」
「マジかよ……」
「ほら、ナルダとかまだピンピンしてるぞ」
「あいつやべぇな…」
「蓮の体力が少ないだけだっての、これから頑張れよ」
「ああ……」
「前半で3点は大きいぞ、オリンピア相手に」
「後半レオがハットトリック決めて同点にしてきそうなんだが」
「そうなったら蓮がハットトリック決めてくれよ」
「俺、デビュー戦なんですけど…もう1ゴール2アシストの大活躍なんですけど」
「デビュー戦ハットトリックっていう衝撃的なデビューにしたくないのか?」
「くっそ、そう言われたらしたくなるだろうが」
「まぁ、頑張れや」
「お前らー集まれー」
「監督が呼んでるな……行くぞ、蓮」
「ああ」
そして俺達は監督の元へ
「まずはオリンピア相手に3点差は大きい。これは蓮の活躍が大きいかもだがしっかりとオリンピアの攻撃に耐えてくれたディフェンスの役割も大きかった。これから後半だ。蓮はどこぞのメディアにハットトリック決めちゃいますという発言をしてカッコつけようとしている。お前ら、調子に乗ってる弟分の力になって蓮に恩を売っとこうじゃないか、多分仇で返されそうだがな。まぁ、冗談はどごぞの弟分だけにして、後半も頼んだぞ」
「「オッス」」
「よし、じゃあピッチ行けー」
「どごぞの弟分、恩を仇で返すなよ」
「ナルダてめぇ……」
「まぁ、パスするから後半も頼むぜ」
「了解」
「どごぞの弟分ー」
「ラファ……何?」
「トールパスへの反応完璧だったぜ、後半も頼むな」
「ああ、後半の守備頼む」
「任せとけ」
チームメイトと話しながら俺はピッチへと向かう。
ピッチに付くとなんとあのレオが俺に話しかけてきた。
「赤井」
「レオ!?」
「前半は見事だった。ただ後半は俺が点を決めるからお前に時間は渡さないぞ?」
「一瞬で決めるので時間はそこまで入りません」
「すげぇ生意気だな…ダニエルさんの言ってたことが分かったよ」
「えっ、ダニエルの知り合いなんですか?」
「知らないのか?ダニエルさんはオリンピアで活躍した人だぞ」
「え……」
マジかよ、ダニエル元オリンピアの選手なのか……レオがさん呼びってダニエルどれだけスゴイ人だったんだよ……。
「まぁ、後半もよろしくな」
「はい、後半もバンバン点決めます」
「ああ」
そしてレオはアントワーヌの元へ去っていく
「なぁ、パブロ。俺、レオと話しちゃったんだけど」
「あぁ?お前緊張してたか?」
「めちゃくちゃ緊張した。」
「嘘だろ……めちゃくちゃ生意気言ってたじゃねぇーか」
「そ、それは緊張してたから」
「緊張してたから生意気言ってしまいました。なんて誰にも通じねぇよ」
「ま、まぁ、レオと話せたからいいか」
「急にテンション下がったな……」
「もう後半始まるし…」
「そうだな、蓮。さっきも言ったけど頼むぞ」
「おう」
『今、後半開始の笛が吹かれました。浅沼さん、オリンピアはやはり点を取りに行かなければいけませんよね』
『ええ、レヴェルに3点差つけられてますからね。この差が増えたらヤバいですがもし減るようなことがあればまだまだわかりませんよ』
『となるとレオが先に決めるか、赤井が先に決めるかの勝負になるということですね』
『ええ、後半どうなっていくのか楽しみです』
試合が動いたのは後半20分
レオとアントワーヌが上がり、後ろからプジョルのスルーパス。それをアントワーヌが受け取ってレオにパス。そのボールに完璧に合わせてレオが、シュート。
ボールはキーパー届かないところでゴール。
オリンピアが1点を返した。
「レオヤバいな……」
「オリンピアの連携半端ないぞ…これはあと2点すぐ返されそうだな……蓮、監督から上がってもいいって指示出たら積極的にプレスかけるぞ」
「ああ、というか今指示だしたぞ」
「了解、こっちも攻めてくぞ」
「おう」
『ゴォォーール、レオ。3点差を2点差に変えるゴールです。』
『連携が素晴らしかったですね』
『はい、プジョル、アントワーヌ、レオと素晴らしいパス回しでしたね』
『これはレヴェルも焦らないといけないですからね』
『まだ2点差ありますが…』
『もし次決められて1点差になってしまえばまた1点とすぐに同点にされてしまう可能性が出てくると言うことです』
『波に乗られたら怖いと言うことですね』
『ええ、おっと赤井が前線でボールを奪う』
前線にプレスをかけていた俺は一瞬の空きを見逃さず、オリンピアの選手のパスが緩くなったところへ走り出す。ボールを奪ってドリブルをすると近くの選手もよってきているがどうにかボールをキープしてゴール前へ。シュートしたがボールはキーパーが弾いて、コーナーキックに。
コーナーを蹴るのはナルダ。凄いコントロールを持っていて昨日の模擬戦ではびっくりしたものだ。まさかスルーパスだけじゃなくトールパスもコントロールが良いとは。ナルダが俺にアイコンタクトを取ってくる。
「キーパー前にいろ」
「了解」
俺はコーナーに近い位置に行き、ナルダがボールを蹴るのに合わせてゴールに向かって走り出す。完璧なタイミングで来たボールを頭に捉えつつゴールへと突っ込む。ボールはそのままゴールへと入り、今日2点目のゴールだ。
「ナイス、ナルダ」
「おう、完璧だったぜ蓮。そう言えば蓮はゴールパフォーマンスしないのか?」
「あー思いつかなくて…」
「だったら俺がナンバーワンの選手だーって意味で右手1にしてジャンプして振り下ろしたら?」
「あ?こういうことか?」
右手1にして、ジャンプして、振り下ろす
「おお…かっけぇ。1を振り下ろすタイミングで0に変える……なんか意味できそうだな」
「誰かやってなかったか?これ?」
「ゲームのゴールパフォーマンスで見たことあるだけだからな、選手名は忘れた」
「マジかよ」
『ゴォォーール、赤井が今日2点目。ナルダのコーナーにしっかり合わせてきました』
『完璧でしたね、蹴った瞬間から走り出してそのままゴールに突っ込む。こちらも素晴らしい連携でした。』
『これで差はまた3点差に』
『ちょっと時間を考えるとオリンピアが厳しくなってきましたね……次レヴェルがまた点を取れば試合は決まったようなものですよ』
『ええ、このあとどうなるんでしょうか』
『おっ、これは赤井選手。ゴールパフォーマンスです』
『1を上げて振り下ろすタイミングで0に……なにか意味がありそうですね』
『オリンピアは1位だったけど今シーズンは俺が勝って俺らが優勝するぜ、とかですかね?』
『ただ端に振り下ろしただけなのでは……まぁ、そこは今度取材でも出来た時に聞いてみましょう』
『ええ、おっと、ボールはまたレヴェルに』
パブロから来たボールを俺は足元でキャッチする。ゴール前には二人、抜くことが難しかったので右前にいたナルダにパスをする。そして俺は、ゴール前へ走る。俺の考えを把握したナルダはどうにか俺へとボールを敵の足の間を通して返す。そして俺は、後ろから来たボールに合わせて右足を踏み込んで左足でシュート。ボールはゴール右下を通りネットを揺らした。
「ふぅ、危ねえ……」
「なぁ、蓮。お前左でも打てるのか?」
「えっと、シュートか?」
「ああ」
「流石に右よりはコントロール悪いけど同じくらいの精度で左でも打てるぞ」
「マジかよ……キーパーたぶん右で蹴ると思ってたから反応できて無かったぞ」
「あー、一拍遅れてたもんな。まぁこれも隠し玉ですよ」
「いやいや、隠し玉って……どんだけやべぇんだよ蓮……」
「引くなよ?」
「引くかよ、驚きはするけどな」
『ゴォォーール、赤井。今日ハットトリックです。』
『今のなんですか?ちょっと意味が……』
『えーナルダにボールを渡してゴール前へ行き、後ろから来たボールに合わせて左足を振ってゴール。あれ、赤井選手は左利きでしたか?』
『最初は右で蹴っていたのでこれは……両利き?』
『赤井選手……これはなんで日本で名前が上がらなかったのか不思議でなりませんね』
『ちょっと日本のスカウトへ批判が飛びそうですが赤井選手素晴らしいですね。日本代表で試合に出るのが楽しみで仕方ありません』
『そうですね、赤井が加わった日本代表はどこまでいけるのか、本当に楽しみです』
「というか、蓮。お前ハットトリックだぞ」
「………おぉ、マジか。デビュー戦ハットトリックか」
「気づいてなかったのかよ」
「いや、ナルダにボール渡してからゴールのことしか考えてなかったからな、というか、ノールックで足振ったし」
「だよな……お前俺のパス見てなかったよな……」
「目の前に来たときは見たけどな」
「それでも見る前に右足ガッツリ踏み込んでただろうが」
「そこはまぁ、経験?」
「どんな練習してたらそんな技術つくんだよ…」
「世界一の指導者に教えてもらったんだよ、昔だけどな」
「マジか……」
『おっと、再開されたところで試合終了、レヴェル、オリンピア相手に5対1で勝ちました。』
『赤井選手の活躍が素晴らしかったですね』
『ええ、本当にこれからが楽しみで仕方ありません』
『赤井、デビュー戦オリンピア相手にハットトリックです』
『そう言えばデビュー戦でしたね……プレーが凄すぎて忘れてました』
『自分もいまチラッと赤井、デビュー戦での文字を見てあれ?そう言えばこれデビュー戦じゃんとびっくりしました』
『そうですよね、デビュー戦でハットトリック凄すぎます。次の相手はチーナ。次回もよろしくお願いします』
「終わったか……」
「蓮、監督のところへ行くぞ」
「ああ、パブロ」
「お前たち、今日はお疲れ様。オリンピア相手に4点差、大金星だ。蓮はデビュー戦ハットトリックと素晴らしい活躍をしてくれた。これからのシーズン頑張っていくぞ」
「「おう」」
「じゃあ、蓮は取材な。他は飲み会でも好きにいけー」
「よっしゃ、おーいラファエル飲み行くぞー」
「パブロ、よっしゃ。行くか。ターロス、お前も行くか?」
「パブロさんの奢りなら」
「マジかよ……よっしゃ。成人軍団、今日は俺の奢りだ、飲み行くぞー」
「「ウォォーーー」」
「パブロやべぇな」
「そりゃあここの最古参だからな、じゃあ蓮俺も飲み行くわ、一応20歳だし」
「お前、20歳超えてたのか……」
「まぁな、お前は可愛い百瀬さんを口説いとけー」
「あーはいはい。そう言えば……え、俺めちゃくちゃカッコつけてなかったっけ?」
「おっ、黒歴史か?」
「ヤバい、めちゃくちゃ会いたくない。なんかすごいこと言った覚えある……」
「お前これかも絶対付き合いあるだろうに……」
「もう嫌だァァァァ」
「お、落ち着け。ほら、ハットトリック決めただろ?」
「決めたから更に会いたくねぇぇぇー」
「えぇ……」
「おい、蓮くん。行くぞ」
「おっ、リーナさんが迎えに来たぞ。行け」
「ナルダてめぇ……まぁ、行くわ。飲み会楽しめよー」
「ああ」
「じゃあ蓮くんおいでー」
「はい……」
百瀬さんに会いたくねぇぇぇんですが?
なんか大人がなんとかーってのとハットトリック決めちゃいますとか俺絶対ヤバいやつやん。
更にハットトリック決めてくるという……ヤバすぎるだろ。まぁ、うん。素で行こうか。ただ百瀬さんめちゃくちゃ綺麗なんだよな……緊張しまくるんだが……。
落ち着け、日本での日々を思い出せ、………一対一で美人の人と話したことなんて一度もねぇ……。
まぁ、なるようになるか
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