第28話ヒロイン視点 神崎クオリティ後編
「では、後半に行きましょう。試合が動いたのは後半20分。プショル選手、アントワーヌ選手、レオ選手の3人で前線へと上がり見事なパス回しでレヴェルのディフェンスを圧倒します。そして最後はレオのシュート。これはさすがのハマーも防ぐことが出来ずにオリンピアに1点」
「この攻めは凄かったですよね……なんというか、これがオリンピアのレベルだって言われてるみたいで」
「わかります。この時レヴェルのディフェンスは良いように翻弄されてただけですからね……」
「ここでオリンピアに流れが行くと思いきや……って感じでしたよね」
「ええ、その後すぐに赤井選手が前線にプレスをかけてまたボールを奪います。そして、ドリブルの神とさっき言いましたがオリンピアを圧倒し、ゴール前へ。シュートしたんですが惜しくもキーパーに弾かれてゴールにはなりませんでした。」
「素晴らしいシュートではあったんですけどキーパーの方が一枚上手でしたね。」
「ええ、ですがコーナーキックのチャンスになりました。ボールを蹴るのはナルダ選手。蹴ったボールはうまく赤井選手のヘッドでゴールへと運ばれました」
「そしてあの、神落としですよね」
「神落とし……ゴールパフォーマンスですか。右手を1にして上に掲げて下ろすタイミングで0にするやつですよね」
「ええ、これですよ」
そう言って神崎さんは赤井選手のゴールパフォーマンスのマネをする
「何やってもイケメンはイケメンだわぁ……」
「高梨アナウンサー目が死んでる……」
「だって、神崎さん何してもかっこいいから良いですよね……」
「いや、人並みの感情はあるからめちゃくちゃ恥ずかしがってるのよ?一応言っとくけど。俺、赤井選手のマネしたのにヒューーとか何も言われずどこぞの社長の、ゴホン。どこぞのアナウンサーにイケメンだわぁって言われるんだよ?百瀬さんの無反応を俺はどう受け止めればいいんだ?意外と心に来るぞ?」
「あっ、私の反応待ちでしたか……なんか高梨さんが言ってたのでリアクションしなくてもいいのかなぁ……と神崎さんイケメンー」
「すっごくダメージ受けた……ノールックシュートまで行けないかも……」
「神崎さん、頑張れー」
「はい、めちゃくちゃ棒読みでがんばれーと応援マネージャーに言われました神崎信介です。仕事なので頑張りまーす!百瀬さん、ノールックをー」
「はい!少し芸能界の闇が見えたので元気にやっていきたいと思います!パブロ選手がボールを受け取り前線へと駆け上がり、赤井選手へとパス。ですが赤井選手の前には二人のディフェンダーがおり、進めません。なので、横にいたナルダ選手へとパス。その後です。赤井選手はすかさず二人のディフェンダーを抜いてゴール前へと走り出します。ナルダ選手は執念でどうにかディフェンダーの股を通してボールを赤井選手の元に。赤井選手はボールが来ることをわかっていたかのように右足を踏み込んで左足でシュート。3点目、ハットトリック達成のゴールでした。」
「これ地味に凄いのが左足で蹴ってるってことなんですよね……赤井選手は右利きなのか左利きなのかキーパーは最初のゴールが右だったので反応が遅れてますからね」
「ええ、どちらの足でもゴールを狙えるとなると本当に凄い選手です」
「で、ノールック」
「ええ、私が取材した所によるとナルダ選手とたくさん練習する中で絶対にパスを出してくれるだろうと信じていたから左足を振り切ることができたと言っていました」
「これ外したら相当な恥でしたからね……友人が素晴らしいデビュー戦を飾ってくれてよかったです」
「私はハットトリック決めてくれるって信じてましたからね」
「おっと、今の発言を掘り下げたいと私の取材魂が叫んでいる」
「高梨さんは次回も解説呼ばれるように願っといてくださいねー」
「えっ、一回で降板?ちょっとそれは……」
「はい、皆さんいかがでしたでしょうか?百瀬さんが取材したことを俺から言わせてもらいます。赤井選手が一番デビュー戦の中で心に残ったことはピッチに出たときだそうです。理由はファンの皆様の歓声が全方向から聞こえてきて嬉しかったからだと言っています。試合が始まる前の意気込みですが、自分の役割を達成したい。あわよくばゴールも狙いたいと言っていましたがこの活躍を見る限り試合前の目標を達成したと言えるでしょう。では皆さん、また見ていただけると嬉しいです。さようならー百瀬さん時間なくて俺が言ったごめんねー」
「さようならーオッケーです」
「また今度ー」
「「また高梨さんに会えるかなぁー」」
「二人して不穏なことを言わないで!」
「カットー」
「百瀬さん、お疲れ様でした」
「神崎さんもお疲れ様です」
「すいません、時間の都合上俺が全部言ってしまって……」
「大丈夫です。」
「ではこれを」
神崎さんがなにかを差し出してくる……これはチケット?
「これは……」
「さっき番組のときに言ってた食事券です。お好きなようにお使い下さい」
「すぐ実践してる……」
「まぁ、法廷に立ちたくはないので……」
「そうですけど……」
「すいません、時間がないのでまたよろしくお願いしますね。お疲れ様でした。高梨さんー社長のところ行きますよー」
「ガチで行くんですか……百瀬さん、お疲れ様でした」
「高梨さんもお疲れ様です」
そして、二人は現場から去っていってしまった。
「行っちゃったか……よし、私も帰るか」
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