第2話 出会い

「んじゃ、父さん行ってくるな」

「行ってら〜」

いつもどおりの時間に父さんは仕事に向かう。

あの引っ越してきた日から俺の生活はあまり変わらなかった。

家の掃除してゲームして公園でサッカーの練習して…

まぁ、日本に居たよりはサッカーの練習してるんだけどな。

「じゃあ、今日も練習しに行くか」

俺がいつも練習しているのは近くにサッカー場がある公園。

大きな広場があり、土日は家族連れで賑わっている。いつも通り筋トレから練習していると横からムキムキマッチョの外国人が話し掛けてくる。

「おい蓮、今日も練習か?」

「ああダニエル、今日も美味しいやつ頼むわ」

「今日はツナクレープでいいか?」

「ああ、それでいいよ」

俺が今話しているのはクレープ屋のダニエル

筋肉ムキムキのボディを持っているとても優しいやつだ。歳は意外にも40超えてるらしく、俺の父親と一緒ぐらいらしい。

毎日練習している合間に昼飯としてクレープを買うのでそのときに話をしたりして仲良くなった。

「なぁ、蓮。今度俺の友達と試合するんだがお前も来るか?」

「試合?」

「ああ、俺の友達が体を動かしたいらしくてサッカーコート借りて試合するらしいんだ。」

「俺も行っていいのか?」

「蓮なら大歓迎だよ、まぁ、そいつ2部リーグでサッカーやってるんだがな」

「普通にプロじゃねぇか」

「お前に比べたらプロでもなんでもねぇよ、俺を一対一で抜いたお前ならな」

ダニエルがめちゃくちゃ決め顔で俺を抜いたお前ならな!キラッとしているが触れないであげるか。

「分かったよ、行く日程は?」

「明日だが、空いてるか?」

「ああ、大丈夫だ。そういえばダニエル、お前もプロのサッカー選手らしいじゃねぇか」

そう、今喋っているダニエル。

現役は引退してしまったが元サッカー選手なのだ。

「まぁ、怪我で引退しちまったがこれでもチーム1のディフェンダーだったんだぜ?」

「ああ、調べてみたら出るわ出るわ、またプロの時の話でも聞かせてくれよ」

「生意気な若造だな」

「生意気で悪うございましたね、まぁおつかれ」

「はいよ、歳だったし未練もねぇよ、クレープ屋になれたしな」

「そうか、コーチとか誘われたんじゃないのか」「コーチ?俺は人様を教えるほど上手くねぇよ、体鍛えてボールと触れ合えぐらしか言えねぇ」

「引退スピーチ最後の言葉だな」

「まぁ、あれだけ反響をよんだんだからいい言葉だったのかもな」

「ここでクレープ屋やってんのは俺みたいなやつを見るためか?」

「ああ、見込みがありそうなら声かけて一対一して遊ぶのさ」

「面白い生き方だな」

「生き方なんてもんは人それぞれなんだよ」

「そうか、ダニエル明日楽しみにしとくわ」

「スーパーゴールを見せてくれや」

「お前を抜きまくってやるよ」

「同じチームならお前にはボールバンバン渡して取られたらぶっ飛ばしてやる」

「そうかい、じゃあまた明日な」

「おう、また明日」

俺は蓮、お前みたいなやつを見るだけでもサイコーに楽しいんだよ、これからどれだけ成長するのかってな

まぁ、お前はどこのチームにも所属してなければスカウトに声もかけられねぇただの高校生だけどな、ありゃそういや学校行ってないらしいからただのニートか

まぁ、明日の試合はスカウトくるから存分に活躍してプロに行ってくれや

おっちゃんのお節介無駄にすんなよ

エージェントの仕事でも依頼してくれりゃ頑張るからよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る