第3話 仕組まれた試合?

「お久しぶりです。今日公園で試合するんで見に来てください、覚悟は出来ました」

そう俺は言って携帯電話を置く。

はぁ……ここまで意外と短かったな。

もう少し個人練習やりたかったけど開幕しちゃうからな。


「お、蓮遅かったじゃねぇーか、溢れ出るリビドーに耐えられなかったか?」

溢れ出るリビドーって、何言ってんだ、ダニエル

「初っ端から下ネタかましてんじゃねーよ、電話してたんだよ、電話」

「日本に残してきた彼女でも居るのか?」

「いねーよ、こちとら彼女いない歴=年齢だって言うの」

彼女……女子と話したこと自体が少なかったからな……

ん?姉と妹?家族だからそれは………まぁラノベ主人公並には話したな。

妹とかは俺に甘えて来てほんとに可愛くて……。

ヤベェ、今会えないのが悲しくなってきたじゃねぇか。

「そりゃ悪い、でコンディションは?」

「絶好調だ。今日は活躍する」

「そうか、ここにはスカウトも沢山いるから頑張れよ」

「スカウト?呼んだ中にスゲェやつでも居るのか?」

「ああ、ここにいる奴ら全員化け物だ」

「それは頑張らないとな」

「ああ、頑張れ俺を抜かしてみやがれ」

「抜かされまくって泣くんじゃねぇぞ」

「お前も停められまくって泣くなよ」

…………え?スカウトがいる?

えっ、ダニエルお前何やってくれてんの?

いやさ、ダニエル、プロの選手だったから伝手もあるだろうとは思ってたけど。

今日はただの友達の息抜きのための試合って言いましたよね?

俺ここに来た瞬間

あれ?なんでこんなにがたい良い人ばっかなの?

来る場所間違えた?って携帯なんども確認したんだからな?

マップはここをさしている……ダニエル場所間違えたか?とか思ってたんだからな?

なんだよ、スカウトいるってどんな試合だよ。

「試合するぞー、お前ら集まれー」

ダニエルが選手を集める。

「ここに書いてあるのがお前らのポジションだ。初めてやるんだし戦術も何もないかもしれないが自分をアピールすることを第一に考えて動け、今から5分後に試合だ、得意分野でもチームになるやつに話しとけ、じゃあ解散」

そこから書かれているチームメンバーで集まる

俺はセンターフォワード(CF)希望通りのポジションだ。

交代は考えていないらしく、ギリギリのメンバーしか集まっていないのだが、みんながたい良すぎだろ……どんな筋トレしたらそこに筋肉付くんだよ。

チームメイトが集まってくる。

ダニエルが言ったとおり、得意分野でも話しておくか。

「日本人の赤井蓮だ。ポジションはセンターフォワード、裏に動くのを最優先としてどんどん抜ける動きをする、前線で圧をかけてボール取れたらすぐにゴールを狙うのでよろしく」

「じゃあ俺も、ポジションは……」

みんなが自己紹介とポジションを言っていく。

俺が流れ作れてよかったな……

「なぁ赤井、俺がどんどんスルーパス前に出すからゴール狙ってくれよ」

「えっと、ナルダだったよな、了解」

「ダニエルさんを抜かしまくれよー」

ナルダはそんなことを言ってすぐに去っていく。

「そんだけか、まぁ頑張るけど」

そうこうしているうちに試合開始の笛がなる。

俺はサッカーゲームをしているので有名な選手の大体は知っているのだが若い選手はほとんど知らない。

ナルダが化け物が相手チームにいるとか言っていたが……まぁ、気にせずに頑張るか。

前半中盤ナルダが、ボールを持ちドリブルを始め、俺へのスルーパスが入る。

「決めるか」

俺は全力でボールを取り、ダニエルを振り抜いてボールをゴール前まで運びそのままシュート。

ボールはキーパーが横っ飛びで止めようと動いたが手が届かずそのままゴール。

1点目だ。

「蓮……てめぇ速すぎるだろ」

「ダニエルどうした?歳か?」

「チッ、言っとけ」

「赤井、スゴすぎるぞ、今のゴール」

「ありがとな、ナルダ、ナイススルーパス」

「おう、2点目も頼む」

「次は止めるからな」

「老人は座っとけ」

「よく口が回るな、蓮」

「早くポジション戻れ、ダニエル」

「チッ、あいよ」

そしてまた笛がなる……

「蓮、お前は俺が見込んだ通りの化け物だな」

「そうか?ダニエルボール沢山ありがとな」

「てめぇ、ディフェンダーからボール取ってすぐゴールとかプロでも見ないプレーを平然とするな」

「ダニエルのパス回しが遅いんだよ」

「まぁ、歳だしな」

「はい、老人はこのお茶でも飲んで休んときなさい」

「くそ、いま一瞬でも気を使われて嬉しいと感じでしまった…」

「ただの皮肉だ、気を使ってない」

「いい性格してるな」

「ありがとうございます」

「皮肉だ」

「知ってるわ、まぁ今日はありがとな良いストレス発散になったわ」

「そりゃあ、10点も点数決めればストレス発散になるわな」

「めちゃくちゃ気持ちよかったわ」

「ここにいる奴ら全員アンダーの世界選抜に選ばれるレベルなんだけどな」

「1人ライトウィングにやべぇのがいたぞ」

「お前に比べたらヤバくないけどな」

「私もしかして、なにかしちゃいました?」

「ぶっ飛ばしてやろうか」

「辞めてくれ、今から大事な会食」

「はぁ、そう言えばスカウトの件全部断ってよかったのか?」

「ああ、俺もう入るチーム決まってんだよ」

「は?マジか、俺のお節介はいらなかったか」

「そうだな、でもまぁ顔は売れたから良かったよ」

「そうかい、なぁ蓮、エージェントって知ってるか」

「ああ、仲介人だな」

「宛はあるのか」

「ないから、探してる」

「俺がなってやろうか?」

「エージェントをか?」

「ああ、俺はこれでも選手のときエージェントなんて通していなかったんだぜ、全部自分でやってた、まぁ最後の方は奥さんと二人だったけどな」

「奥さん?ダニエル結婚してたのかよ…」

「そりゃあ、プロのサッカー選手なんだ、結婚ぐらいしてるさ」

「俺の成績で食う飯はうまいか?」

「金に興味はないが美味いだろうな」

「はぁ、何円だ?」

「年収1億」

「生涯契約なら採用だ」

「地の果まで追いかけてやるよ」

「頼むわ」

「ああ、詳しい話はまた今度な」

「そうしてくれ、これでも10点決めてヘトヘトなんだ」

「そうか、じゃあ俺の連絡先だけ渡しとくわ、時間ができたら連絡くれ」

「了解」

「勝手に決めてるクラブと契約するなよ、俺がびっくりするほど金を搾り取るから」

「分かったよ、じゃあ今日は帰るわ、また今度な」

「ああ、また今度、連絡しろよ?」

「ああ」

そして俺は帰り道を歩く

最初あんなに話かけてくれたナルダは俺が10点決める頃には怯えて話しかけて来なかったからな…

トモダチデキナイツライ

まぁ、お前スゲェよ、お前凄すぎだろ

って言われてたのに

あんたは化け物だ……どんなフィジカルとスピードしてんだ……

ってなってたからな

まぁ、化け物は化け物らしく、ヤバいやつしかいない1部リーグにでも行きますよ

本物たちがいるところにね

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