第50話 運命の日?前編

「はぁぁーあ……マジでファール多すぎだろ。くそがっ……あーやっぱり辛えーなぁぁあ」

机を握った拳で叩く。

あー痛い。

俺は今日の試合で5試合連続ハットトリックを逃した。これだけならまだ良かっただろう。俺はこの日初めて試合でゴールが一つも取れなかった。アシストすら出来ず、一点も取ることが出来なかった。俺はチームの足手まといだった。後ろからはいつタックルを仕掛けてくるか分からないディフェンス陣……たったそれだけの事がめちゃくちゃ怖かったし、いつも以上に体が固くなってしまった。

昔、日本でも後ろからスライディングタックルをされた事はある。それでも、外国の、自分と同じくらいの体格のプロの選手のタックルはめちゃくちゃ怖かった。さらに、どこでもガッツリと二人以上のマークがつき、動きにくいことこの上なかった。

「フィジカルやっぱ弱いなぁー自分。体力もないし……2人付かれるとドリブルも制限がきついすぎるんだよなぁ……年齢差、経験。あー早くチャンピオンリーグに出れるくらい能力あげないといけないのになぁ」

俺は考える。同じ歳で今自分が所属しているチーム以上に凄いレベルのチームへ行き、その中でスタメンを勝ち取り、大活躍している、若き天才、神獣エトー。

俺と彼とは幼い頃、今ユニゾンの監督をしているレイチェルさんに色々とサッカーについての技術や知識を教えてもらった。

「あーあーあっ、こんなんじゃいつまで経ってもアイツと会えねぇじゃないか……やっぱり、対人は辛いなぁー、俺は基礎能力というか小手技しか磨いてこなかったからな」

まぁ、エトーの潜在能力にぶっ飛ばされたせいなんだけど……。

まだ、小さい頃だったがその頃からエトーは化け物だった。レイチェルさんに教えられたことをしっかりと吸収し、すぐに上達していった。俺はその事に対抗心を燃やしてめちゃくちゃ頑張ったが……奴には叶わなかった。それでもレイチェルさんからありがたいお言葉を頂き、引越しの日俺はエトーとある約束をした。

俺がベットにうつ伏せになり、アァーーと喚いていると携帯が震える。それは、あの取材に来てくれた百瀬さんからの電話だった。

…………

ラブコメの気配がする……

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