第36話 スペインリーグ第2節 レヴェル対チーナ 後半戦

前半終了のホイッスルが響く。

俺は2点差という状況に唸っていた。

「2点差、2点差かぁ……」

すると監督からのエールが入る。

「赤井、後半45分。逆転頼んだぞ」

「信頼置きすぎじゃないですかね……やれるだけ頑張りますので次回はフルで使っていただけると嬉しいです」

「体力トレーニング頑張ってたらな」

「はい。言質取りましたからね」

監督と冗談を言い合い、俺は実況のことを考えていた。

レヴェルは守りが良いチーム……まぁ、前回のトレーニングの成果が出たってことなのかな。カープに2点取られたけど……。2点差ってことはハットトリックしか勝ち目ねぇじゃねぇか。アシストでも良いけどやっぱり自分で決めたいしな。そしてなんと言っても、ここでハットトリック決めたら、めちゃくちゃカッコイイやん。そして、そのハットトリックで百瀬さんからの連絡をGETだぜ!

やべぇ、頭おかしくなってきた。

集中集中。

「蓮、すまねぇ。お前が来るまでゼロに抑えるって言ったのによ」

「大丈夫だよ、ラファ。俺がハットトリック決めるから。文句ならそこの一切攻めることの出来なかったパブロに言うから」

「一切攻められなかったってなんだよ!俺だって頑張ったわ!」

「点が決まらなきゃ意味ねぇーんだよ!!相手の体力減らすとかできるけどさ!チーム負けたら意味ねぇーんだよ!!!」

「「すまねぇ」」

「監督から喝を入れてやれって言われてきてるからな!全員集まれー!」

「お前そんなこと絶対言われてねぇだろ……集めるけどさぁ」

ナルダがレヴェルのメンバーを集め、円陣を組む。

もちろん喋るのはキャプテンのラファエルではなく、蓮だ。

「お前ら!後半、ようやく前回オリンピア戦で大活躍だった俺の登場だ!ボールさえ渡してもらえば点決めてやるから2部から上ってきたチーナをぶっ飛ばすぞ!」

「「「おぉぉぉ!」」」

「さぁ、後半気張ってくぞ!」

『後半開始のホイッスルが吹かれました。浅沼さん、さっき赤井選手がレヴェルのチームメイトを集めて喝を入れてましたね』

『ええ、あれを見るとしっかりチームの一員として認められているようで安心しました』

『安心ですか?』

『ええ。自分も昔、海外のチームでプレイしていたんですけど最初は全然交流がなくてですね……チームの一員として認められていない感じだったんですよね。急に来たのもありましたし、自分が日本語以外そこまで話せなかったのもあるんですけどね。だからこそ、赤井選手がチームメイトと仲良くしているのを見ると安心します』

『赤井選手の職場事情まで考えてくださって優しいですね。取材に行った百瀬さんがチームメイトの人とスタッフの人と仲良くしているのを見たって言ってたので自分は心配していなかったんですけどやはり外国だと言語の壁とか文化の違いがあって難しい面もありますからね』

『では、試合を見ていきましょう……』

後半15分。蓮へスルーパスを送ろうとレヴェルは頑張るがチーナの守備陣にカットされる。そして、すぐにカープの攻撃を防ぐという攻防が続いていたがここでようやく蓮へボールが渡る。

「ナイス、ナルダ!」

俺はようやくナルダからのボールを受け取りゴールを狙う。

前に敵は2人。一応ゴールを狙えるが距離がある。

いや、赤井蓮!ここで覚悟を決めろ!いける!

俺はゴール上のポストを狙ってシュートを打つ。

ボールは狙った通りにポストに当たりボールは下に。

キーパーはキャッチしようとするがボールはゴールラインを越える。

ようやく1点目。これで2対1だ。

「よっしゃぁぁ、1点目!」

あと2点、あと2点で百瀬さんとの食事!

(そんな約束はありません。主人公が勝手に言ってるだけです)

「ナイス蓮!今のコース完璧だな」

「ああ、ナルダ!ナイスパス」

『決まったァァァァ!赤井、コース完璧でした!』

『あそこを狙って決めるのは凄いですね。それにしても赤井選手、運を持ってますね。普通ゴールポスト上に当たったら観客席の方に逸れるか跳ね返ってくるかのどちらかですからね』

『そして、GoalPerformance』

『めちゃくちゃ発音良いじゃないですか……1を振り上げてー』

『『振り下ろす!』』

そして、後半28分。

蓮はターロスとナルダとパスを繋いでゴール前へ。

ゴールを狙うか、パスを出すか……パ、いや、きついな。

俺はパスをしようとしたがコースがなく、即座にゴールに向けてボールを蹴る。

ボールはキーパーの反応が遅れ、そのまま転がりゴールネットを揺らす。

「よっし!賭けだったけど入ったぁー!」

「蓮、ナイスフェイント!」

「ああ、パブロも良い場所にいてナルダ達とパスしやすかったぜ!」

『ゴォォーーール!赤井、今日2点目!後半から起用され、大活躍です!これで同点です!』

『いやぁー良いフェイントでしたね。もしかしたらパスを本気で狙ったのかも知れませんが足を戻してからのゴールへのシュートが早かったですね』

『そうですね。そして、ゴールパフォーマンス』

『振り上げてー』

『『振り下ろす』』

『もうなんか、浅沼さんとずっと一緒にやってるんじゃないかってぐらい息ぴったりで嬉しいです』

『自分も神崎さんとずっと一緒にやって来たんじゃないかって思います。そして、試合が再開します』

ここで、蓮の2点目が決まり同点に。

チーナのメンバーも焦り始めカープに至っては蓮に刺激されたのか

「そうだよ!これが赤井蓮だよ!俺も負けてられねぇ。ハットトリックまであと一点。俺が決勝ゴールを決めてやる」

とコンディションが上がっている。

そして、ここからレヴェルとチーナの硬直状態が続く。

試合はアディショナルタイムへ。

両監督は延長戦のことも考え始めていたがここでレヴェルにチャンスが訪れる。

ボールを持っているのはパブロ。

そのままゴールを狙いたかったがチーナのディフェンス陣に前を防がれてしまう。

たが、蓮へのマークが甘くなっていてパブロは蓮にパスを出す。

ボールは蓮へと通り……。

「ナイス、パブロ!」

ここから……いや、行ける。

俺は前の二人を抜いてゴール前へ。

まだ一人いたがそのままシュートフォームに入りシュート。

ボールは前にいたディフェンダーの足に当たり、弾道がずれる。

キーパーはどうにか反応したがボールは転がってゴール端のポストに当たりキーパーの手が届かずゴールラインを越える。

「よっしゃァァァァ!ハットトリックゥゥ!」

百瀬さんとの食事だァァァ!メールが届くぞぉぉ!

(食事の約束をしてないし、メールが届くと決まったわけではありません)

「ナイス蓮!パス繋がって良かったぜ」

「ああ、良い感じに空いてて良かったわ」

『ゴォォァーーール!赤井!今日もハットトリック!デビュー2戦連続ハットトリックです!今のゴールは相手の選手に当たったんですが赤井選手のシュート威力が強く少し弾道がズレましたがゴールラインまでいきました。さらに、これでレヴェルが逆転です!赤井選手のゴールパフォーマンス!腕を振り上げて』

『『振り下ろす!』』

『いやぁー浅沼さん。赤井選手凄いですね』

『ええ、後半から出でハットトリック決めて逆転させるって凄いです。それもデビュー2戦目でこれをするのは本当に実力があるって事ですからね』

『試合が再開されますがここで笛がなる。レヴェル、チーナに逆転勝ちです!』


……………………………

少し改稿しました。

次の更新が遅くなっていてすいません。

土日は最低でも更新したいと考えているので待っていただけると嬉しいです!

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