第30話 レヴェルに足りないもの 中編
次の練習ではディフェンス陣の連携がしっかりとしていたが、十回やれば五回はゴール前に行く前に止められるようになっていた。
そして、監督の指示で一旦休憩に。
俺は同じフォワードでプレイしているパブロと話をしていた。
「蓮が走り回ってると攻めるのも難しいな……」
「パブロさんや……オリンピアの時もこのくらい動いてたのにガンガン攻め込まれたんですが……」
「それは実力の差だろうよ。だって蓮君よ、考えて見ろ。あのレオがゴールポストに嫌われてたおかげで5対1で勝ってるけどシュート数とか見たら凄いことになってるからな?」
「あぁ……それを言われるとな何も言えねぇ。で、でも勝ったからな。俺の活躍思いだしてみろよ」
「あのときの赤井は凄かったなぁ……うん。特にレオとプジョルを抜いたところは本当に凄かった」
「パブロもあんなことが出来るようになりさえすれば……」
「俺、もう年だしなぁ……」
「みんなー集まれー次の指示出すぞー」
監督から休憩終了の合図がでる。
「よっし。じゃあ行くか」
「おう」
レヴェルのメンバーがクック監督の元に集まってくる。
「よし。さっきの練習を見ていて思ったことが多々あるがざっくりと言う。みんな体力が少なすぎる。試合の90分間ずっと走り続けられるくらいの体力を付けるために体力トレーニングをやってくから覚悟しろよ。で、ディフェンス陣。セーフティって言ってるけどセーフティになってない。一応パスコースを減らさせることは出来てるけど瞬発力とかスピードの問題以前に絞らないといけないコースの判断ミスが多い。だから、アグレッシブに守り方を変える。チーナ戦ではディフェンスはアグレッシブ。攻めはいつも通りカウンターでやるからよろしく頼む。という事で……今からコート外周を1時間走ってもらう。タイマーセットするからもう走っとけー」
「パブロ、俺1時間走れる体力残ってないんだが……」
「限界を超えろ」
「えっ……いや、体力…」
「限界を超えるんだ。蓮」
「えぇ……」
「人間だれしも限界を超えないと新たな自分には出会えないんだ。どこぞの作家も仕事とかで死にかけてるのに作品を書き続けてたらなぜか知らないけど急に世間に評価されださられたとかいろんな話があるんだ」
「お、おう」
「だから、蓮。限界を超えろ」
「お、俺、限界超えます。パブロ教官」
「よし!いい返事だ。最初の5分全力で走って体力空にするぞ。」
「え?」
いや、さすがにそれはその後の50分死ぬというか……。
「おい、パブロ、赤井。もう走れー」
「行くぞ。蓮、限界を超えるんだー」
パブロが背中を押してくる。
「いや、最初はスロースタートを切ってですね……」
「全力でやるしかないんだよ。俺みたいな年寄りは……」
おっと、急に悲しい話が始まりそうだ……。
「分かったから。俺、限界を超えるために頑張るよ」
「よく言った。年寄りはゆったり行くから、蓮は俺に10周差をつけないと奢ってやらないからな」
「チッ、高い店奢れよ。俺本当に体力残ってないんだけどなぁ……」
………………………………………………
12月になりましたね。今日からまた頑張っていくのでよろしくお願いします!
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